セ・CS争い、まさに加熱中。

3夜連続サヨナラ勝ちというあの劇勝から、気が付けば3週間。
甘美な記憶ではあるものの、あの興奮の余韻は既になく、9月初めにはジャイアンツに「負けたら4位転落」というところまで追いつめられた横浜DeNAベイスターズ。かろうじてなんとか3位の座をキープしていたものの、ついに9月13日、最高5.5ゲーム差まで開いていた読売ジャイアンツと順位が入れ替わり4位に。激しいCS出場争いとなっております。

昨年以上の土壇場であり、徳俵ギリギリ、絶壁に立たされている印象。本当に、この先、どうなっちゃうんだろう…って、もう僕らも応援して応援して応援して、見守るしかないのですが…

「ああ、今年もだめかねえ、ベイスターズは…」

心折れかけながらも前向きな気持ちを保とうとしていたそんな折、自分の心の中に、昔、ハマスタで耳にした、ある人の言葉が思い出されたのです。

それは、少し昔のハマスタの、3塁側の端っこで、いつも聞いていた声。そう、「みかん氷」を販売していた、売店のおばちゃんの言葉でした。
なんで、そんな言葉をこのタイミングで思い出してしまうのか…と、ちょっと苦笑い。

ご存知でしょうか、ハマスタ6大グルメ

「みかん氷」の話になったので、ちょっと続けると、今、ハマスタには「6大グルメ」と公式に称されるメニューがあるのをご存知でしょうか。

オリジナルビールの「ベイスターズエール&ラガー」、選手寮のカレーレシピを使った「青星寮(せいせいりょう)カレー」、辛さと歯ごたえの「ベイスターズドッグ」、2度揚げサクサクから揚げ「ベイカラ」、ソースにくぐらせがぶりつく揚げたて「ベイメンチ」

これらはみな、ここ1~2年で生まれて、球団が激推ししてきたメニューなのですが、これらとともに「6大グルメ」の一角をなしているのが、正真正銘・ハマスタ伝統の味、「みかん氷」なのです。

画像: 現在のみかん氷。ノーマルタイプ

現在のみかん氷。ノーマルタイプ

みかん氷についてはあまり説明いらないとも思いますが、かき氷に缶詰のみかんとシロップをぶっかけたもの。昔はシロップにも"秘伝のレシピ"を加えている、と言われてきましたね。

とにかくもういつからかわからないぐらい、昔から愛されてきて、オープン戦の春からシーズン終盤の秋まで、季節を問わず売り続けられている「みかん氷」ですが、最近は、

画像: 手の平にどっしり!ヘルメットみかん氷

手の平にどっしり!ヘルメットみかん氷

大きめの容器をヘルメットで包んだ大盛り「ヘルメットかき氷」や、

画像: ブルーキュラソー&ウォッカで、お酒ほんのりの「大人のみかん氷」。

ブルーキュラソー&ウォッカで、お酒ほんのりの「大人のみかん氷」。

ブルーキュラソー&ウォッカが入った「大人のみかん氷」などのバリエーションも存在するようになり、すっかり「6大グルメ」のひとつとして、ブランディングされた感があります。

今や、ハマスタのほぼどの席からでも(列はできるけど)買いに行きやすいメニューになったみかん氷。今やレフトのビジター外野席でも購入できます。

ですが、ちょっと前の昔のハマスタでは、内野では1店舗でしか、発売されていませんでした。しかも、それも、ビジター側。3塁側の一番奥の奥のお店で、でした。

3塁側の、一番奥の奥で

お店の注文口には、みかん氷を取り扱った、いつの日付かよくわからない新聞記事の切り抜きが貼ってありました。そしてアクリルの窓を隔てた厨房には、なじみのおばちゃんたちが今日もうどんを、おそばを湯煎していました。トントントンとリズムよく奏でられるねぎを刻む音や、おそばなどをゆでるお湯の温かさが窓の外にも伝わってくる、そんなお店の中から、みかん氷は毎日生まれていました。でっかいかき氷機と、どんなに寒い日でもしっかり用意されていた、憧れのみかん氷のシロップの箱。注文に応じて、シャリシャリ削られていく氷。その上に、みかんとシロップが、どばーっとのせられていきます。

かつてのぼくはいつもそこに、1回裏が終わったぐらいにお店に顔を出していました。ちょっとだけ試合が進んだあたりで、みかん氷をかきこむのが常の観戦。
そこに顔を出すと、おばちゃんたちから、さっそく苦笑交じりの会話が。

「今日もすぐ点取られちゃったわね」
「たぶん無理よねえ、今日も」
「内海でしょ?勝てるわけないない」

そんな自虐的な会話から始まるのが常。ちょっと初回からリードでもしてようものなら、「珍しいわね、どうしちゃったの?」と逆に驚いてみたり。まあそれがちょっと前のベイスターズ。だけどそれもまた楽しいことでした。

みかん氷がそこにしか売っていない、とはいえ、夏場やタイガース戦・ジャイアンツ戦以外では、お客さんも次の人がなかなか来ないので(カープ戦もあの頃は、今ほど人はいなかった)、モニターに映る試合を肴に、人が来るまで話しこんでしまうことも多かったのです。

画像: ちょっと前のハマスタで、3塁側で買った、みかん氷。

ちょっと前のハマスタで、3塁側で買った、みかん氷。

タイガース戦やジャイアンツ戦はさすがに人が多くて。夏の日など、縦じまのユニや刺繍入りのユニに身を包んだ人たちの列の中に、1人βマークのユニ姿で紛れ込む、なんてことも珍しくなく。別に絡まれたわけじゃなかったけど、「なんで3塁側に横浜がおるんや!?」という視線もあったりして、ホームのはずなのに、肩身を若干狭く感じたこともあったり。

だけれども、おばちゃんが、「今日は人多くてたいへんよ~」と困ったように言いながら、こっそりと、他の人のものよりちょっと大盛りな、あふれんばかりのみかん氷をくれたこともありました。
(ベイスターズファンだからね、特別よ!)と、小声でちょっとささやきながら。きっとそれは、「がんばんなさいよ!」というおばちゃんたちなりのエール。そんな気持ちが、とっても嬉しかったのです。

ベイスターズだから、特別。
やっぱり、あのおばちゃんたちも、どんなに弱くっても、なんだかんだ、ベイスターズが気になっていたのでしょう。

時は経ち、そして今

あの時代から、親会社も変わり、時も経ち。
いつのまにかみかん氷は、内野1塁側の一番端っこのお店でも買えるようになり、次第に球場の中、いろんな場所で買えるようになりました。さらに雑誌の横浜(という街の)特集の中で紹介されることも珍しくなくなり。昔以上にみかん氷は、多くの人に手が届くようになり、広く愛されるようになりました。

そして、あの3塁側のお店も、いつしか(2013年頃)、若い人がお店の中でひっきりなしに動いている、より活気のあるお店に変わっていました(現在の「ダイナマイトボウル」です)。そして、あのおばちゃんたちも、今はハマスタにはいません。

さまざまな「継承と革新」がハマスタ内外に巻き起こり、どんどんハマスタに人が集い始めていく中、いなくなってしまった、あの愛すべきおばちゃんたち。今の状況を嘆くわけでは決してないけど、おばちゃんたちに、せめてもの「ありがとう」の一言も言えなかったこと。それがぼくにとっては、今も悔やまれることなのです。

あのおばちゃんたち、今もお元気かなあと。今でも時折、そんなことを考えています。
もうすぐオリンピックもやるし、またハマスタに来てくれたらいいなあ、と。もうちょっとしたら、
ハマスタも、おじちゃんおばちゃんに今よりもっともっと優しい場所になってくれるから。
そう、きっと。

時の流れは止められない。時代は変わる。人も変わる。変わっていくことは必然。
だけれども、変わっていく中で、なくなっていくものも、去っていく人も、忘れないでおきたいのです。

今のベイスターズを、あのおばちゃんたちは見てくれてるかなあ。
「やっぱり、ベイスターズ、ダメだねえ」なんて、言ってるのかなあ。まあ、言ってるかもしれないけど、きっとそう言いながらも、今きっとハマスタにいらしたら、大盛りのみかん氷を、ビジターファンの合間をぬって、こっそりくれる気がするのです。
「がんばんなさいよ!」って目をしながら。きっと。

そうやって、みかん氷に勇気をもらっていた、あの頃のように。
踏ん張りたいんです、決して、くじけずに。

画像: 2010年3月14日撮影。春先だって、みかん氷!

2010年3月14日撮影。春先だって、みかん氷!

たくさんの想い出を重ねながら、あの頃よりも強くなったベイスターズ、進化していくハマスタと共に、みかん氷の終わらない物語はこれからも、それぞれの人の中で季節を問わず、積み重ね続けられていくのでしょう。

そして、今季のベイスターズの戦いも、まだまだ、終わらない・終われないのです。
10月の半ば以降に、みかん氷を、ハマスタで食べましょう!

※この記事は「ゆるすぽアンバサダー」が作成した記事です。記事内の権利関係等の責任は筆者に属します。

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