ラジカルに、そして海賊らしく。
~横浜ビー・コルセアーズCEO岡本尚博さんに聞く①~

「長かった! 疲れた〜!!」

これは、5月28日国立代々木競技場第一体育館で行われた入替戦で勝利し、B1残留を決めた直後にお話を伺った横浜ビー・コルセアーズCEO岡本尚博さんの第一声の言葉です。

画像: B1残留を決めた歓喜の中で、ウォッシュバーン選手とガッチリ握手を交わす、横浜ビー・コルセアーズ岡本尚博CEO。

B1残留を決めた歓喜の中で、ウォッシュバーン選手とガッチリ握手を交わす、横浜ビー・コルセアーズ岡本尚博CEO。

岡本CEOには、今シーズン途中の5月にロングインタビューをさせていただいていたのですが、その内容は次回以降でお届けしていくとして、是非今季の締めくくりとしてお話を伺いたいと思っていました。

やりましたね!と声を掛けると、岡本CEOが崩れるようにして言ったのが冒頭の言葉でした。これまで数々の苦難の激動を乗り越えて掴んだ今回のB1残留だけに、この言葉には、岡本CEOのここまでの気持ちすべてが詰まっていたような気がします。

「もう疲れたとしか、言いようがない」

プレーオフと入替戦では、ずっとベンチの後ろで見守っていた岡本CEO。

「とりあえず、(試合では)何も出来ることがないですからね」

画像: 代々木第二体育館でのプレーオフ2回戦で戦況を見守る岡本CEO(左端)。その眼差しは熱く、選手ブースターと共に闘っていた。

代々木第二体育館でのプレーオフ2回戦で戦況を見守る岡本CEO(左端)。その眼差しは熱く、選手ブースターと共に闘っていた。

さらに、B1残留を決めた率直なお気持ちを伺うと、岡本CEOは笑顔から真顔に変わってこう話してくれました。

「ホッとした。これだけですね。変な意味ではなくて、やっぱり初年度の目標は、とにかく、次へ繋がる第一歩を、きちんと刻むってことだったので、そういう意味では、どんな形であれ残留しなければならなかった。B1残留を決められて、一歩を刻めたことで、来季へ向けて、また新たな歩みを進むことが出来ます」

画像: 今季の闘いを終え、やり尽くしたことを体全体で表わしていた川村卓也選手。その横で握手を交わす岡本CEOもまた同じ想いだった。

今季の闘いを終え、やり尽くしたことを体全体で表わしていた川村卓也選手。その横で握手を交わす岡本CEOもまた同じ想いだった。

bjリーグからBリーグになって、選手を大幅にかえて臨んだこの1年は、大きな挑戦でした。

「選手たちが、12人中、10人が新しく集まって出来たチームですから、そう簡単にチームが出来上がるわけがないと思ってはいました。逆に、これだけいろいろと苦しかったシーズンを彼らで乗り越えて来たので、今はひとつのチームになりつつあるところなのかなっていう気はしています」

ビーコルはこれまで、bjリーグ時代の経営破綻、Bリーグ発足時に絶対に無理と言われたB1入り、そしてこのB1残留と、本当にステップをひとつひとつ踏んで、一歩、一歩、着実に来ています。

「本当に、一歩ずつ、一歩ずつでした。僕に力があれば、ガーッと行けるんでしょうけど、そこまでの力はないんで(笑)」

岡本CEOはそうおどけてみせましたが、ここまで東奔西走した努力と数々の苦労は想像を絶します。

「一個、一個、着実にミッションをクリアしていくっていうところで、言い方は変ですけど、(ビーコルは)bjリーグの東の10位だったチームですから、チーム自体も一回、経営破綻を経験しているので、まずはフロントをどう改革していくかでした」

岡本CEOをはじめとしたチームスタッフが、身を粉にして、必死に努力奔走した末に掴んだB1入り。それだけに、降格だけは絶対に阻止しなければならないことでした。

「Bリーグが発足して、厳しい審査基準を通ってなんとかB1に入った。あの時は、僕らフロントがやったことだけど、今度は選手たちの力で、何とか来季のB1のステージを勝ち取ったわけです。これで本当に、ようやくB1のチームになれた。ここからが本当のスタートです」

このことを語ったときの岡本CEOの表情はとても感慨深くて、言葉には選手たちへの愛と激励が込められているような気がしました。

画像: みたび起こった大逆転のビーコル。それは選手たち自らの力で守ったB1残留だった。ようやく真のB1チームになれた瞬間、ここからが本当のスタートだ。

みたび起こった大逆転のビーコル。それは選手たち自らの力で守ったB1残留だった。ようやく真のB1チームになれた瞬間、ここからが本当のスタートだ。

「でも、最初、本来の目標としてはね、チャンピオンシップぐらい狙えるところまでは行けるかなって思ってたんですけど、世の中、そんなに甘くないですよね(苦笑)」

それでも、旧bjリーグ勢の意地をみせてくれたような気がします。

「そうですね。本当にそういう意味では、(bjリーグとNBLとでは)経営哲学というか、チームの方向性とか、そういったものも全然違うと思うんですよね。だから、僕らみたいな後ろ盾のないチームが、ブースターと一緒にどこまでいけるか?といった挑戦でもあったんです。それだけに来季も、この挑戦を続けられるところに残れたっていうことにホッとしています」

プレーオフ1回戦で、秋田ノーザンハピネッツに辛くも勝利したなかで、岡本CEOは彼らの想いも背負った使命があったと語ります。

「あれだけの力と、あれだけのブースターのあるチームと戦ってうちが残ったわけですから、そのまま負けて入れ替わるわけにはいかないなというのもありましたし。広島(ドラゴンフライズ)さんも、本当に一生懸命、ワンチャンスだと思って向かってくるのは分かってました。だから、僕らは僕らで、受けるんではなくて、それこそ海賊ですから、しっかりB1の座を自分たちで奪い取ってこい!っていう話だけ、選手たちにはしていたんです」

画像: 完全アウエー状態の秋田で行われたプレーオフ第1回戦を勝利したビー・コルセアーズ。2回戦と入替戦は、彼らの想いも受け継ぎ闘った。(写真提供:横浜ビー・コルセアーズ)

完全アウエー状態の秋田で行われたプレーオフ第1回戦を勝利したビー・コルセアーズ。2回戦と入替戦は、彼らの想いも受け継ぎ闘った。(写真提供:横浜ビー・コルセアーズ)

「僕はバスケのことは何も言えないけど、シーズン中盤から怪我人で一回崩れてしまったチームを、選手と尺野(ヘッドコーチ)が、何とか立て直して戦える形に持って来てくれた。本当によく頑張ってくれたと思います。スタッフも本当に苦しい中で、崩れてしまってもおかしくないところをよく支えて、最後まで完走してくれました。

最後のプレーオフ1回戦でしっかりと勝って、2回戦は気持ちはあったんだけど、体が…。ベテランが多いですし、1回戦のダメージがリカバリー出来なかった。気持ちと体がミスマッチで、出だしが上手く機能しなかったのを引きずっちゃったけど、意地で1度は逆転まで持っていったわけですから、それが出来たっていう時点で、チームとしては出来てきたのかなっていう感じがしましたね」

2回戦、高島選手のレイアップシュートで一時は逆転したビーコル。満身創痍のチームが見せたあの執念に岡本さんは、このチームに手応えを掴んだそうです。

画像: 2回戦、高島一貴選手の果敢なレイアップシュートで一時は逆転したビーコル。海賊たちの意地を見た気がした。

2回戦、高島一貴選手の果敢なレイアップシュートで一時は逆転したビーコル。海賊たちの意地を見た気がした。

「あそこまで、持って行けれたことで、ようやくチームになって来てるのかなっていう手応えは感じていました。負けはしたんだけど、あとは入替戦で、しっかり最後の試合を締め括れれば、来季へ次の一歩を進めるなと思っていましたね」

岡本さんにインタビューをしてきた中で、岡本さんは度々選手たちのことを“海賊”と呼んでいます。それがとても新鮮で、今回の入替戦で観たビーコルの選手たちが、本当にひとりひとりが、ものすごい個性を持つ“海賊”だということを強く感じました。あの個性が、ひとつになったときのパワーはものすごいものでした。

「大事なのは、それを観てくれている人が面白いと思ってくれるか、どうかですよね」

俯瞰でチームの状況をしっかりと見ているCEOらしい言葉です。岡本さんがこだわる“海賊”。このことは次回以降の連載で詳しくご紹介させていただくとして、岡本さんは、この入替戦のことをこう捉えていました。

「横浜ビー・コルセアーズが、Bリーグの大トリをご指名いただいたのかなと(笑)。いい意味でも、悪い意味でも、ビーコルらしい1年だったのかなと思います。海賊映画って、結局こんな感じじゃないですか。ボッコボコにされて、嵐とか砲弾とか受けて、煙吹きながら何とか最後、グシャグシャってやって(笑)。ジャック・スパロウかなんかがね、相手に潜り込んで相手の船を壊して、それで生き残っちゃうみたいなね。ビーコルも、そんな感じになりましたけど、最初からそうしたいわけじゃないんでね(苦笑)」

画像: B1残留の歓喜に湧く選手とブースターを見つめていた岡本CEO。その姿はとても感慨深そうだった。

B1残留の歓喜に湧く選手とブースターを見つめていた岡本CEO。その姿はとても感慨深そうだった。

選手のスカウティングも自ら率先しておこなう岡本CEO、それだけに迷いや悩みも多かったといいます。

「結果、B1に残れたんですが、そこまでのいろいろなジャッジが、あれで良かったのかっていうのは、常に自分の中で、自問自答を繰り返しながらここまで来ました。間違えないはずだと無理矢理言い聞かせて、これでいいはずだっていうふうに、無理矢理自分を信じ込ませて、ここまで来ちゃいましたね。そういう意味では、選手とヘッドコーチ、スタッフが最後、本当に自分たちの力で来季へチャレンジ出来る権利を掴み取ってくれたんで、本当に良かったです」

B1で闘うBリーグ2シーズン目となる来季、海賊たちの総帥はどんなビジョンを持っているのだろう?

「まずは、今のチームを再検証した上でだとは思いますけど、僕自身、もともとこのチームは2年目からが、本当の勝負と思っていましたから。今年1年でそれぞれの役割とかキャラクターとか、出来ること、出来ないことが見えて来たと思うので、そこにスタッフを加えて、2年目の進化を問うことになります。多少の補強は当然しなきゃいけないとは思っていますけど、ベースはこのチームで行きたいっていう僕の希望はあります」

今季を支えたビーコルブースターへ。

「本当にジェットコースターのような1年だったと思いますし、すごい負担も大きかったと思うので、来季はもうちょっと違う、上を上がっていくような、ドキドキじゃなくてワクワクするようなスリルを皆さんに味わってもらえるように、より一層頑張っていきます。

画像: ビーコルブースターは、秋田でのプレーオフ第1回戦でもパブリックビューイングに集まり、猛烈な情熱を選手たちに送った。(写真提供:横浜ビー・コルセアーズ)

ビーコルブースターは、秋田でのプレーオフ第1回戦でもパブリックビューイングに集まり、猛烈な情熱を選手たちに送った。(写真提供:横浜ビー・コルセアーズ)

ブースターさんには、いつでもどんな時でもネガティブではなく、『頑張れーっ!』、『いや、楽しんでるよ!』、『面白いよ』と支えていただきました」

これを話しているときの岡本さんの声は、心なしか震えていたような気がしました。

「逆に僕らのほうが、『ビーコルのようなチームはもっと伸びていかないといけない』と励ましてもらったんです。こんな僕でもね、たまにはちょっと心が弱くなったり、う〜んっていう時もあるんですけど、そういう時に本当にブースターの人たちが『大丈夫、大丈夫』って声を掛けてくれるんです。僕がちょっと真剣な顔をしていると『らしくないね』、『海賊なんだから、大丈夫ですよ』って、『付いていきますから』って、そう言ってくれた人たちを裏切らないで済んだことが、一番ホッとしていることです。

この代々木の、余計ともいえる試合に、沢山来て、あれだけ声を張り上げていただいて、本来は入れ替え戦で勝ったからって、そんなに喜べる状況ではないと思うんですけど、泣きながら喜んでくれた人たちに、どうやって来季、少しでもお返しが出来るのか。そう思っています。

横浜ビー・コルセアーズって、チームが海賊っていうか、選手とブースター、僕や関係者も含めて、みんな海賊っぽいんで。来季、ここからより強い海賊になっていきたいと思います。よろしくお願いします!」

画像: Bリーグ初年度のホーム最終戦で一同に会した誇り高き海賊たち。(写真提供:横浜ビー・コルセアーズ)

Bリーグ初年度のホーム最終戦で一同に会した誇り高き海賊たち。(写真提供:横浜ビー・コルセアーズ)

そして岡本さんは、ブースターの存在があってこそのビー・コルセアーズと語ります。

「プロは自分の気持ちだけで戦うのも強いけど、僕もそうだけど、人間弱いからね。折れる時もあると思う。やはりお客さんがいてこそなんです。見ててくれる人がいるっていうことは、やっぱり踏ん張れますよね。ちっちゃい子がよくあるじゃないですか、親が見ててくれると力が出るっていうね。見ててくれるっていうのが、これだけの力になるということを、選手も僕らも、今季全員が感じたんじゃないかなと思います。ねぇ! 尺野!」

横にいた尺野HCにいきなり振った岡本CEO。

尺野HC:「そ、そう思います!」

照れくさそうに、こんなやり取りを見せてくれた岡本さんですが、尺野HCへの感謝を忘れてはいませんでした。

「本当にね、シーズン途中から大役を担わせたんだけど、よく耐え切ってくれました!」

画像: 尺野HCと写真に収まっていただいた岡本CEO。「オレ、単なるファンみたくなってない?」。大丈夫です!

尺野HCと写真に収まっていただいた岡本CEO。「オレ、単なるファンみたくなってない?」。大丈夫です!

次回は、6月26日にビーコルが行った来季の契約選手発表会見で、岡本CEOが語ったネクスト・ビーコルへの大きな手応え。どうぞお楽しみに!

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