三度の飯より野球が大好き! 山本祐香です。

生まれ育った北海道の女子野球事情が知りたい、ということで、前回に引き続き北海道で唯一の女子硬式野球クラブチーム「ホーネッツ・レディース」の練習にお邪魔してきました。

それでも野球が好きだから②はこちら↓

それでも野球が好きだから

NPO法人 北海道ベースボールクラブが運営している「ホーネッツ・レディース」は、主に北海道札幌市で活動している女子硬式野球チームです。今回は火曜日に行われていた夜間練習にお邪魔しました。

練習が終わり、選手ひとりひとりにお話を聞いたところ、様々なことがわかってきました。まず、野球を始めたきっかけですが、9割がこれです。

兄の影響

やはり、お兄ちゃんがやっていることはまねっこしたくなるものなのでしょうか。ということは、もしかしたら女子野球には第一子は極端に少ないのかもしれませんね! 今度調べてみたいものです(笑)。そして、これも多かったです。

すでに兄は野球をやめている

これもなぜなのか気になりますね。妹の方が兄に負けまいと頑張った結果でしょうか(笑)。

そして、見えてきた厳しい現実もありました。高校野球では、今現在の規則では女子野球部員は公式試合に出場できません。男子部員が当たり前のように目標とする、ベンチ入りや甲子園出場。女子部員は夢を見ることすら許されないのです。しかしそれでも、男子部員に混ざり練習を共にしている選手もいます。そのメリットはなんなのか。

齋藤舞捕手(真栄高校) 同級生のキャッチャーにいろいろ聞くことができる

立野歩佳投手(清田高校) 体力の差、スピード感が違うので学ぶことが多い

男女の体の違いから、差が大きく出てくるのもこの年代だと思いますが、だからこそ学ぶことも多いのですね。公式試合に出られなくても得るものは大きいようです。逆にずっと男子の中で野球をやってきて、初めて女子だけのチームに入ったことで見えてきたことがある選手もいるようです。

高橋はるか投手(東海大学札幌キャンパス)
高校までずっと男子の中でやってきたが、力の差がありすぎて自分の位置がわからなかった。大学からホーネッツ・レディースに入り、初めて女子だけの環境になった。女子と比べると、足りない部分が明確にわかるようになった。

そして、女子野球にも軟式と硬式があります。学校の硬式野球部に入り、男子と一緒に汗を流す選手もいれば、ホーネッツ・レディースに入るまでは女子軟式野球チームで活動してきたという選手もいました。それでもやはりみなさん、女子硬式野球チームで野球がやりたい、という思いが強く、ホーネッツ・レディースにやってきたようです。なぜ、女子の硬式にこだわるのか。

柳谷優花外野手(株式会社VICREO) プロも硬式だし、硬式で挑戦していきたい

本吉若菜内野手(札幌大学) 軟式は軟式で面白いが、硬式も硬式の面白さがあるから

女子プロ野球やマドンナジャパンは硬式ですからね。みなさん、上を目指したい、やるなら硬式でやりたい、などという気持ちから硬式を選んでいるようです。

そして、誰からも同じような答えが返ってきたのがこの質問。ホーネッツ・レディースの雰囲気はどうですか。

中村蛍投手(東海大札幌高校) 中1から入って6年目になるが、とても居心地が良い

岩倉こずえ内野手(スマートスポーツ接骨院)
みんな仲が良く、年齢関係なく言いたいことを言い合える。かといって上下関係が全くないというわけでもなく、年下の子はきちんと気を遣ってくれる。

横島花帆内野手(長谷川産業株式会社)
お互い気づいたことは言うようにしているが、みんなちゃんと意見を言ってくれるのでキャプテンとしてもやりやすい。

チームの雰囲気はとても良いようです。上下関係を大切にしながら、意見は気兼ねなく言い合えるというのは理想だと感じます。ここまでで、女子野球の現状やチームの雰囲気などが大分わかってきましたが、ここからはこの日練習に参加していた選手ひとりひとりの、経歴や目標などを聞いてみましょう。

画像: #24 横島花帆 内野手 キャプテン 1995.04.04 右・右 長谷川産業株式会社

#24 横島花帆 内野手
キャプテン
1995.04.04 右・右
長谷川産業株式会社

硬式野球を続けたくて、高校入学時に留萌市から札幌市に家族で引っ越し、ホーネッツ・レディースに入りました。今は主に外野を守ることが多いです。ホーネッツ・レディースは、みんな仲が良く変に気を遣うことがないチームで居心地が良いです。7月の女子硬式野球北海道大会に向けて、毎日練習しているチームに比べると練習量が少ないので、個人練習を増やしていきたいです。

画像: #19 岩倉こずえ 内野手 1991.10.18 右・左 スマートスポーツ接骨院

#19 岩倉こずえ 内野手
1991.10.18 右・左
スマートスポーツ接骨院

スポーツ関係の仕事で国家資格を取ろうと思ったのですが、兄が柔道整復師なので一家に二人もいらないと思い鍼灸師にしました。できる環境があるならずっと野球をやっていきたいので、遠征も行っていいよ、と休みをくれる現在の職場には感謝しています。高校のときは先生にお願いして、部活でも野球をやっていました。女子は試合には出られませんが、試合に出たいというよりは毎日野球ができる環境が欲しかったから。7月の大会は一発勝負のトーナメントなので負けられません。バッティング面では、チャンスで回ってくることが多いので全部帰すつもりで臨みます。

画像: #7 本吉若菜 内野手 1997.10.10 右・右 札幌大学

#7 本吉若菜 内野手
1997.10.10 右・右
札幌大学

中1のときは男子と一緒の野球部でも先頭を走っていましたが、中3頃から頑張ってついていく、という状態になりました。大学では野球部の人数が多すぎて入部しませんでした。女子軟式野球チームをケガで辞め、その後今年1月にホーネッツ・レディースの一員となりました。このチームは、練習の最後に気づいたことを話す時間があり、意見を共有できるところが良いです。こういうプレーをしたいからこうする、というようにみんなきちんとした考えを持っているので自分の意識も高まります。積極的なプレーがウリなので、自分らしいプレーで7月にはレギュラーをとりたいです。

画像: #4 柳谷優花 外野手 1993.05.29 左・左 株式会社VICREO

#4 柳谷優花 外野手
1993.05.29 左・左
株式会社VICREO

中学まで軟式をやっていましたが、硬式がやりたくて高1からホーネッツ・レディースに入りました。上下関係がないわけではないけど、上も下もみんな仲が良いこのチームの雰囲気が好きです。札幌ドームにプロ野球を観に行くこともありますが、やっぱり勉強しながら観ちゃいますね。バッティングよりも守備範囲が広いことが強みだと思います。野球はずっと続けていきたいです。

画像: #16 齋藤舞 捕手 1999.04.16 右・右 真栄高校

#16 齋藤舞 捕手
1999.04.16 右・右
真栄高校

元々内野手で高校の部活ではセカンドをやっていますが、このチームでは今キャッチャーをやっています。キャッチャーは大変ですが、部活の同級生のキャッチャーに聞いたり、高校野球を観たりして勉強しています。今年からバットを振る回数を今までの100回から300回に増やし、ベンチプレス、スクワット、背筋などの筋トレも頑張っているので、去年より力もついてきたと思います。休みはほとんどありませんがあっても、グローブ磨いてテレビ見て寝て、です(笑)。高校を卒業したら、作業療法士の専門学校に通いながら野球を続けていきたいと思っています。

画像: #14 中村蛍 投手 1999.07.14 右・右 東海大札幌高校

#14 中村蛍 投手
1999.07.14 右・右
東海大札幌高校

小3~中3まで北海道日本ハムファイターズのベースボールアカデミーで野球を教わっていました。札幌ドームで女子プロ野球の試合があったときにホーネッツ・レディースが練習のお手伝いをしているところを見ました。ホーネッツ・レディースにも知り合いのススメで中1から入っているので、もう6年目になります。最初は外野手をやっていましたが、好きなポジションなのでやってみたいと思い、途中から投手になりました。投手ではありますが、バッティングが得意で今もとても調子がいいです。7月の大会に向けて頑張りたいです。

画像: #18 高橋はるか 投手 1997.12.17 右・右 東海大学札幌キャンパス

#18 高橋はるか 投手
1997.12.17 右・右
東海大学札幌キャンパス

高校までずっと部活に入り、男子とやっていました。球速は100キロくらい出ます。ただ、ずっとやっていたトレーニングを大学受験のためにできない時期があり、筋力が落ちてその状態で以前と同じように投げていたら肩を痛めてしまいました。そのため、今はファーストを守っているのですが、守備は自信がないので緊張します。マウンドでは全く緊張せずリラックスできるので、ピッチャーの方が得意です。今まで男子の中でやってきたので、女子ばかりの環境に入ったことで自分の足りない部分がわかりやすくなりました。

画像: 本吉選手が言っていた“みんなで気づいたことを話す時間” ここで気づいたことを話すことでお互いの技術も向上し、チームの結束も高まる

本吉選手が言っていた“みんなで気づいたことを話す時間”
ここで気づいたことを話すことでお互いの技術も向上し、チームの結束も高まる

平日の練習には、札幌市外在住や、部活、仕事などの関係で来られない選手がおり、この日はチームのエースも不在でした。翌日、札幌市立清田高校の野球部にエースを訪ねて行ってきました。清田高校と言えば、最近は公立ながらも全道大会に顔を出すようになっており、注目の高校です。グラウンドに到着すると、ちょうど大勢の部員がキャッチボールをしており、その中に彼女がいました。

画像: #17 立野歩佳 投手。2000.01.12 右・左 札幌市立清田高校

#17 立野歩佳 投手。2000.01.12 右・左 札幌市立清田高校

ーー部活中にお邪魔します。強いチームでいい環境でやっていますね。そんな中で野球をやることをどう感じていますか。

他の部員とは体力の差があり、スピード感も違います。でも、守備のときなんかは逆に男子がそこをいじってくれるので楽しくやっています。

ーーなぜ、部活とホーネッツ・レディースで硬式野球をやっているのですか。

「日本代表」という夢があるので硬式をやっています。ワールドカップでMVPもとった里綾実投手(兵庫ディオーネ)を超えられる投手になりたいです。ホーネッツ・レディースの金監督も技術はもちろん、自分に厳しいところがすごいと思います。私もストイックを目指します。

ーー部活とホーネッツ・レディースの練習参加はどのような配分なのですか。休みはありますか。

平日は部活に出て、土日の9:00~15:00はホーネッツ・レディースの方に行きます。月曜日がオフなので、ご飯を食べに行ったりします。

ーーご自身の強みと、エースとして7月の大会に向けての目標を聞かせてください。

ピッチャーとして気持ちが強いところが強みです。ピンチでも動じません。球速は110キロくらいです。エースとは思わないで上を目指し、7月の大会では優勝します。

ーーありがとうございました。優勝期待しています!

 
日焼けした肌と笑顔がキラキラと輝いていて、本当に野球が好きなのだなと感じました。立野投手を始めみなさんにお話を聞いていて思ったのが、野球をしているときは迫力があり格好いいのに、話してみると穏やかでかわいらしいんですよね。このギャップがたまらないですね(笑)。

そして、練習環境としては十分ではないけど、チームの雰囲気が良いことも伝わってきました。他に女子硬式野球チームがないため、練習試合はどうしているのかという疑問がありましたが、男子中学生のチームなどと組んでいるそうです。

短い時間でしたが倉庫での夜間練習に密着させていただき感じたことは、全て金監督がおっしゃったこの一言に詰まっていると思います。

「こんな環境でもできるだけいい。こいつら本当に野球が好きだから」

男子と同じように小さなころから野球を頑張ってきたのに、部活に入ることすら許されなかったり、入れても規則で公式試合に出られず、そのうちに男子との体力の差を感じるようになる。女子野球はまだまだ注目度も低く、特に北海道では環境も十分に整っていない中で、ホーネッツ・レディースというチームと出会い、仲間と共に野球で汗を流す。学校や仕事で疲れていても、土日も休まず野球、野球、野球。なんでこんな毎日を続けているんでしょうね、と笑う選手たちから感じるのは、野球への愛でした。

7月15、16日の2日間、野幌総合運動公園野球場で「女子硬式野球北海道大会」が開催されます。北海道のみなさんは、ぜひホーネッツ・レディースの戦いを観に球場へ足を運んでください。

画像: 「こんな環境でもできるだけいい。こいつら本当に野球が好きだから」

そして、女子プロ野球もシーズン中ですので関東・関西の球場を中心に試合が行われています。まずは、気軽に観戦してみてはいかがでしょうか。

今回ホーネッツ・レディースと出会い、女子野球がもっと私たちにとって身近になるように、私もなにか手助けをしていけたらいいな、と思いました。みなさんの笑顔を心に刻んで、またお会いできる日を楽しみにしています。金監督、選手のみなさん、ありがとうございました。

※この記事は「ゆるすぽアンバサダー」が作成した記事です。記事内の権利関係等の責任は筆者に属します。

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