しかも彼女が素晴らしいのは、高校の社会科の教員なのだ。普段社会人として働きながら日本代表として競技をしている。生徒や学校の反応を聞いてみた。

「生徒は訳分かってないと思います。私もあんまり言わないんですけど。休むときは、担当しているクラスには言っておかなあかんなあと思って、『いや、実はさあ…』ってしゃべるんですけど。すると、今のコたちはホントにすぐ調べるんです。調べると『うおっ!』ってなって。担当してないクラスのコも『めっちゃ泳ぐ先生や!』とか『日本代表なん?』とか言われるんですけど、でも多分よく分かってないと思います(笑)。学校の先生たちはみな応援してくださるので、快く休ませてくれますし、『いってらっしゃーい!』って送り出してくれますね」


日本代表選手としての今後の競技ビジョンを聞いてみた。

「5月の日本選手権で、また日本代表に決まれば、アジアでメダル獲りたいって変わっていくと思うんですけど。ただ日本の競技力も上がってきて代表争いも均衡してきて、いずれ代表落ちするでしょうし、ずっと日本代表でいることは無理なので…」

当然、競技への想いが強いのかと思っていたら、意外な答えだった。

「もちろん、競技は競技でまだまだ若いコに負ける気はないので、がんばりますよ。ただ、フィンスイミングというスポーツの価値を上げたいんですよ!」

なぜ彼女がそう言うのかというと、関西だと冬の練習場所に困るらしい。というのも、関西の屋内プールは冬になるとスケートリンクになってしまうからだ。屋内プールのある大学は、部外者は入れない。彼女が通っていた同志社大学は残念ながらプールは屋外。ならば市民プールはというと、フィンスイミングの認知が低いため、プールに傷が付くとか危険だなどと、練習場所の確保が難しい。奇跡的に理解のある市民プールの館長が、日曜の夜だけ貸してくれた。そのため彼女自身も週1回しかフィンを付けて練習できないという。

画像1: (写真は本人提供)

(写真は本人提供)

練習環境を整えるためにも、もっと広く知らしめたい。そのためには、競技力の向上も必要だ。
しかし次世代を担う若い子たちの中には…

「ウチのチームにも若い中学生、高校生の選手がいて、その子たちも含め若い選手の中には、『日本代表を目指したい』『世界で戦いたい』みたいなことを言っているのに、行動が伴っていないというか。意識改革しないと全体の競技力は上がらないかなって。私も偉そうなことは言えないんですけど(笑)。全部やってもらって当たり前、おんぶに抱っこじゃなくって、自分で考えたり、自発的に行動を起こしたりしていかないと。他の競技の人も含めて、オリンピックや世界のトップを目指している人がどんなモチベーションで取り組んでいるかっていうのを、もっと視野を広げて見てほしいと思う。次世代を担う子たちなんやし。たくさん練習してもタイムが伸びない学生なんかが、『早姫さんは練習量が少ないのになんで速いんですか?』って聞いてきたりするんですけど、『いや、それまず自分で考えや!』って(笑)。『ただ単に泳いでたって速くなれへんよ!』って」

画像2: (写真は本人提供)

(写真は本人提供)

競技者としての意識向上だけでなく、さらには日本代表としての意識の向上も必要と感じているそうだ。

「それから私も含め、現日本代表の人間は、『これくらい頑張らなきゃ』『さすが日本代表やな』って、後輩たちからはもちろん、全く関係のない方々からもそう思ってもらえるような人間でいなきゃあかんと思う。発言、行動、一つひとつ、気を付けないと。私も日本代表ってホントは競泳で背負いたかったけど…、ただフィンスイミングで、人生の中で4年も5年も日本代表で活動できたっていうのは、絶対に今後の人生に役立つやろうし」

競技者としてはまだまだやっていくつもり。フィンスイミングを広めていく活動もしている。技術だけでなくて精神的なものも含めて、先輩というよりも教育者としての視点で教えていきたいようだ。彼女の教師ならではの想いが強く伝わってきた。フィンスイミング業界を引っ張っていく人として、みんなが彼女に期待していることだろう。

「遠回りして、遠回りして、速くなるよりは、近道を作ってあげられたほうが、って思いますので」

画像: スタートの瞬間(写真は本人提供)

スタートの瞬間(写真は本人提供)

日本選手権は、この週末5月の13日(土)14日(日)開催。そこでまたフィンスイミング日本代表の座が決まる。


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(写真は本人提供)

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