日本で最もメジャーなスポーツが野球であることは間違いないだろう。ところが近年、スポーツの幅が広がり、野球のことがよくわからないという人たちも増えてきた。その代表格は少年を中心にプレー人口を増やしたサッカーだろう。

そこで野球の専門家と、サッカーのライターが対談し、お互いのイメージや特徴などを容赦なく聞いてもらった。

野球代表は、プロ野球、千葉ロッテマリーンズや阪神タイガースで活躍し、引退後は格闘家に転向してK-1に出場。その後、野球解説者や指導者として活躍している立川隆史氏。

そんな専門家に、授業以外で野球の経験がなく、いまだ野球の試合を見たことがないというサッカージャーナリストの森雅史が質問をぶつける。ヒヤヒヤもののタブーなき対談、第5回をお届けしたい。

画像1: 先輩を君付け?野球が気になるサッカーの上下関係

立川:サッカーの人って、マスコミの前で先輩のことを「○○君」って言いますよね。

森:あります!

立川:あれがわかんないです。先輩のこと、まるで同じ年の友だちみたいに話しているの聞くと「あれ?!」って。

森:確かにそうですよね。野球の人って上下関係がしっかりしてますから。

立川:本当に仲良くなって、2人とか仲間内だけだったらいいですよ。でもメディアの人の前で話すとか、そういう公の場で先輩を「君」付けって、ちょっとよくわからないです。

森:おっしゃるとおりかもしれません。日本代表チームの取材に行くと、若い選手が「(本田)圭佑君が……」なんて言っているときがありますから。

立川:あれを見ていると、「いいのかなぁ」ってドキドキしますね。

森:高校サッカーで鍛えられた選手は上下関係に厳しかったりするんですよ。例えば今、ギラヴァンツ北九州にいる本山雅志選手は、東福岡高校で活躍し高校選手権に優勝しています。本山選手は日本代表チームに呼ばれたとき、当時のフィリップ・トルシエ監督から、ピッチの中で先輩に敬語を使ったからと何度も練習から外れてランニングさせられたらしいですよ。

立川:え? 練習させてもらえない?

森:ピッチに入ったら先輩も後輩もない、という教えみたいですよ。でも、本山選手は「言葉は敬語を使ってもプレーでは遠慮していない」と言っていました。

立川:それがもっともなことですよね。

森:でも、クラブチームは全然違うんですよ。上下関係は緩いし、ピッチの中でも遠慮がないですよね。たとえば東京ヴェルディだと、若い選手がPKを取っても自分でさっさとボールをセットして蹴りますからね。自分で獲得したんだから自分で決めてお金をもらって何が悪いんだ、という感じです。

立川:どれがいいか、僕にはわからないですね~。うまいヤツがすべてって感じなんですかね。

森:野球もピッチャーって王様で特別扱いされてるんじゃないかと思うんですけど、いかがですか?

立川:いや、別に、そんなことはないですよ。

森:サッカーだと、新しく入団してきた新人でも、うまかったら、もう上位扱いされても仕方がないですよね。アイツがいなかったら勝てないから、文句は言えないという感じです。

立川:そういう人たちが社会に出たらどうなんですかね?

森:不適合かもしれないですよね(笑)。でも、有名選手の中でも現役時代と終わってからではまるで違う選手もいますね。現役のときはいつも思い詰めたみたいに口を開いていたのが、引退してからはやっとプレッシャーから解放された感じで、明るく礼儀正しくなった人もいます。

立川:思い当たる人がいますね(笑)。

<続く>

 
[プロフィール]

画像2: 先輩を君付け?野球が気になるサッカーの上下関係

立川隆史(たちかわ・たかし)
1975年10月7日、千葉県千葉市に生まれる。幼いころから野球に親しみ、中学で野球部に入ろうとするが、坊主頭がイヤでバスケット部を選択。しかし高校で再び野球の道に戻ると、ドラフト2位で千葉ロッテマリーンズに入団した。その後、4番打者を務めるなどの活躍を見せた後、阪神に移籍。阪神でも4番の大役を務めるなどしている。引退後はコーチなどをしていたが、2007年にはK-1 JAPANで格闘家としてもデビューするなど異色の経歴を持った。現在は野球解説者ならびに指導者として活躍中。

画像3: 先輩を君付け?野球が気になるサッカーの上下関係

森雅史(もり・まさふみ)
12月12日、佐賀県有田町に生まれる。週刊専門誌を皮切りに数多くの雑誌・書籍に関わってきた。強引な理論を振りかざした突破と爆発的な筆の遅さで読者の予想を超えるオチを目ざしているがいつも苦戦している。地道な取材の前線で体を張り続けているものの、書き始めるまで結論がどこになるのか本人にもわからない。キュートでニートなフットボールジャーナリスト。

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