日本で最もメジャーなスポーツが野球であることは間違いないだろう。ところが近年、スポーツの幅が広がり、野球のことがよくわからないという人たちも増えてきた。その代表格は少年を中心にプレー人口を増やしたサッカーだろう。

そこで野球の専門家と、サッカーのライターが対談し、お互いのイメージや特徴などを容赦なく聞いてもらった。

野球代表は、プロ野球、千葉ロッテマリーンズや阪神タイガースで活躍し、引退後は格闘家に転向してK-1に出場。その後、野球解説者や指導者として活躍している立川隆史氏。

そんな専門家に、授業以外で野球の経験がなく、いまだ野球の試合を見たことがないというサッカージャーナリストの森雅史が質問をぶつける。ヒヤヒヤもののタブーなき対談、第3回をお届けしたい。

画像1: ルールが複雑な野球と、みんなが覚えられるサッカー

森:僕が野球に取っつきにくい理由の1つに、ルールが複雑すぎてよくわからないというのがあるんです。

立川:多いですね。

森:選手のみなさんは、みんな知っているもんなんですか?

立川:いや、わかってないでしょうね。だいたいのところはわかっていても、細かいところになると知らないでしょうね。ルールブック全部分かっている人は、そんなにいないと思います。

森:ものすごく細かいですね。

立川:自動車の運転免許を取るときの、ペーパーテストがあるじゃないですか。あれのようなところもあります。引っかけじゃないけど難しい。

森:そんなときはどうするんですか?

立川:とりあえずプレーしておいて、審判から教えてもらう、みたいな(笑)。

森:レフェリーはわかってるんですか?

立川:審判は全部わかってますね。

森:サッカーは全部で17条しかないんですよ。第1条がフィールドの大きさ、第2条がボール、第3条がプレーヤーの数とか、そんな感じなんです。だからみんな覚えられる(笑)。

立川:そんなんですね。

森:基本的には、レフェリーが汚いとか危ないとか思ったら反則なんです。元々サッカーではレフェリーがピッチの中にいなくて、選手同士の話し合いで決着しないときだけジャッジを下すというのが役割でしたし、第1回ワールドカップでは主審がネクタイ締めてましたから。

立川:野球でルールを覚えるのは、だいたい試合の中で失敗して、そこで覚えていくという感じですね。「あぁ、こういうルールがあるんだな」って。

森:僕は「インフィールドフライ」がわからなかったんです。

立川:わざと落として2つアウトを取ることができますから。

森:それをやればいいんじゃないかと思ったんですよ!

立川:それはダメですね(笑)。でも、野球はヒットを打てなくても点数を取ることができたりするんです。フォアボールで1塁に出て、盗塁して、バントで送って、犠牲フライで帰ってくる。

森:サッカーのオウンゴールとは違って、そういう点の取り方が戦略的だったりするんですね。

立川:野球だと打率が3割もあると「いいバッター」ですよ。ということは10回中7回失敗するんです。1試合に3回か4回、多いと5回打席が廻ってきます。そこで1回ヒットすればいい。「一日一善」です(笑)。

森:Jリーグだと得点王が34試合で20点前後ですから、2試合に1点取れば得点王レースに参戦という感じです。

立川:野球だと2試合連続でヒットなしというのはよくありますよ。3試合もよくあります。でも、その中にフォアボールがあったりとか、送りバントがあったりとか、チームの勝ちに繋がるプレーをすれば試合に出られるんです。

森:野球はそういうデーターが取りやすいですよね。

立川:僕はサッカーがどうやって評価されてるかわからないんですよ。ゴールやアシストはわかります。GKもセーブが関係しているんだろうってなんとなくわかる。でも、DFは今ひとつわからない。

森:タックル成功率などはあるんですけど、確かに数字には出てこない部分がありますよね。それに、たとえばパス成功率が高いチームが勝つかというと、そうでもない試合があるんです。パス成功率が高いということは、安全にしかパスを出していないから攻めていないということもありますから。

立川:野球はデーターで説明しやすいですからね。

森:サッカーもそうなっていくと、もっとたくさんのファンにわかりやすくなるんでしょうね。

<続く>

 
[プロフィール]

画像2: ルールが複雑な野球と、みんなが覚えられるサッカー

立川隆史(たちかわ・たかし)
1975年10月7日、千葉県千葉市に生まれる。幼いころから野球に親しみ、中学で野球部に入ろうとするが、坊主頭がイヤでバスケット部を選択。しかし高校で再び野球の道に戻ると、ドラフト2位で千葉ロッテマリーンズに入団した。その後、4番打者を務めるなどの活躍を見せた後、阪神に移籍。阪神でも4番の大役を務めるなどしている。引退後はコーチなどをしていたが、2007年にはK-1 JAPANで格闘家としてもデビューするなど異色の経歴を持った。現在は野球解説者ならびに指導者として活躍中。

画像3: ルールが複雑な野球と、みんなが覚えられるサッカー

森雅史(もり・まさふみ)
12月12日、佐賀県有田町に生まれる。週刊専門誌を皮切りに数多くの雑誌・書籍に関わってきた。強引な理論を振りかざした突破と爆発的な筆の遅さで読者の予想を超えるオチを目ざしているがいつも苦戦している。地道な取材の前線で体を張り続けているものの、書き始めるまで結論がどこになるのか本人にもわからない。キュートでニートなフットボールジャーナリスト。

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