歯科医とマラソンランナーの二足のわらじを履くアスリート、石川恵さん。一つのことに夢中になるようなことは何もなかった彼女が、マラソンで出会ったのは40歳を過ぎてから。アラフィフ世代とは思えない若々しさを持つ彼女がマラソンと出会い、新たな人生を歩む物語をお届けしています!

●これまでの記事
第1話「昔から特別に夢中になれるものはなかった」 40歳を過ぎてから見つけた大切なもの

一生懸命に頑張ろうとし過ぎて空回りしていた

何の気なしにパラパラとめくっていた女性ファッション雑誌「STORY(ストーリィ)」で見つけた、<ホノルルマラソン完走プロジェクト>のマラソンメンバー募集中の記事。夢中になれるものが何も無いまま40歳を過ぎた彼女は、素直な気持ちでこの企画にチャレンジしてみたいと考え、早速、履歴書と課題作文を編集部に送ったのでした。

総数百数十名の応募者の中から、わずか11名に絞られた書類審査を通過。春のうららかな陽気に恵まれたある日、帝国ホテルでオーディション最終選考が行われました。

ホテルの一室に集められた11人同士で、「どこから来たんですか?」「普段は走ったりしているんですか?」などと自己紹介し合い、和気あいあいと過ごしていました。そんな中、名前順で一人ずつ面接がスタート。石川さんが1番目でした。

「すごく緊張しましたね。頭真っ白でした。覚えているのは、声が震えていたことくらい(笑)。あんなに緊張したのは人生で初めてでした」

最終メンバー5名の発表。所在なげに部屋の片隅でその結果を聞いていた石川さん。残念ながら、そこに彼女の名前はありませんでした。

「落ちたのは、正直悲しかったですね、ホントに。すごく走りたくなっていたんだなあと…」

この後、合格者5名は近くの皇居で撮影を兼ねて少し走ることに。石川さんを含め、落選メンバーにも「せっかくなので」と声を掛けられました。

「この日は受かっても落ちても走る気でいたので、何も考えずについていったんですが…、私以外の落選メンバーは誰もいませんでしたね(笑)」

いざ走ってみると、落選という事実にますます落胆してしまった彼女。ところがそれから2日後、編集部から「1枠増やせた」という連絡がありました。

「すごくうれしかったですね。(落選メンバーの)他の皆さんが帰る中、一人だけ残っていたことで“やる気”があると思われたのかもしれませんね。『もしまだ一緒に走りたいという気持ちがあれば…』ということでしたので、『ぜひお願いします!』と」

捨てる神あれば拾う神あり。こうして最終メンバー“6”名、「TEAM STORY」の中に、石川さんは名を連ねることになったのでした。

画像: <TEAM STORYの皆さん/写真提供:石川恵>

<TEAM STORYの皆さん/写真提供:石川恵>

ホノルルマラソンは12月。ここから約9カ月にわたるドキュメンタリー企画が始まったわけですが、雑誌の撮影のために数回集まり、トレーニングのアドバイスをもらったりはするものの、トレーニングの基本はあくまでも各自の自主トレーニング。この時から、最初は自分で買ったノートを、今では「ランナーズ」という雑誌に毎年付録でついてくる「ランナーズダイアリー」を活用して、1年間のトレーニング計画や毎日のトレーニング実績をつける習慣を身に付けました。今や、こんなに…。

画像: 一生懸命に頑張ろうとし過ぎて空回りしていた

その後、TEAM STORYで6月の千歳JAL国際マラソン10キロコースに参加。レースデビューを果たしました。オーディションから3カ月。「自信が無かった」というこのレースで、石川さんはチームで1番のタイムを出しました。アドバイザーの方からも、「弱気な言葉とは裏腹の健脚ぶり。女優顔負けの名演技と潜在能力の高さには脱帽だね」という評価を(笑)。一生懸命に自主トレーニングに励んだ成果が表れたといえるでしょう。

ただ、それまで真剣にスポーツをしてきた経験の不足と、アドバイスを何でも聞き過ぎてしまう素直さが、だんだんと裏目に出てきてしまいます。本番ホノルルの前哨戦としてチャレンジする予定だったハーフマラソン大会、諏訪湖マラソンを体調不良で欠席してしまったのです。

「自己流で頑張り過ぎて、体調を悪くしてしまいましたね。まだ大して何ができるわけでもないのに、今思えば必要のなかった練習もやったり…。1回落選したのに拾ってもらったという恩義もあって、全部を一生懸命に頑張ろうとし過ぎていたんだと思います。空回りしちゃっていましたね」

結局、ハーフマラソンを経験できないまま、ぶっつけ本番で臨むことに。異国の地、時差、早朝のスタート、そして未知の世界であるフルマラソン。果たして自分に完走できるのか、不安に感じる気持ちは大きかったそうです。

そして石川さんは、このレースでドラマのような展開を迎えることになったのです。

(第3話へ続く)

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