トライアウトの意外な事実、スカウトが着目するのは

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年が明けても、まだ2月以降の所属先が決まっていない選手というのはいます。そんな選手にとって、その年のラストチャンスと言えるのが、1月に開催される「合同トライアウト」です。

トライアウトは参加したメンバーたちによる紅白戦です。多くのクラブのGMや監督が見つめる中、来年の契約がほしい選手たちは最後のアピールとばかりに走り回ります。

この「合同トライアウト」は12月にも開催されていて、何とかプロ選手生活を続けたい選手たちは正月返上で体を鍛え続け、トライアウト当日を迎えます。井手口純さんは、12月のトライアウトを3回、1月のトライアウトを1回受けたと言います。

「鳥栖で一度構想外になったとき、12月のトライアウトに参加しました。そこで鳥栖からもう一度契約しようという話になりましたね。その翌年、もう一度鳥栖の構想外になったときは、12月と1月の2回。その1月のトライアウトで徳島に呼んでもらえることになりました。徳島から出ることになったときは12月の1回だけ。そこで踏ん切りを付けました」

「トライアウトにはいろいろなカテゴリーの選手が集まってくるので、お互いの特徴をよく知らない選手同士でチームを組みます。ですからあまりコミュニケーションが取れない。ストレスもプレッシャーも高くなります」

「それにトライアウトに出てくる選手は試合に出ていないことが多いので、身体もつくれていないし、どれくらい動けばどの程度疲れるという試合勘がないんです。だいたい1回のゲームが20分ぐらいで、選手の組み合わせを何度も変えながらプレーするのですが、5分ぐらいで息が上がっています」

「ポジションも自分の得意な位置でプレーできるとは限りません。そのときのメンバーの組み合わせで決められるので、余計に精神的に追い詰められてしまいます」

では、選手を採用するほうはどこを見ているのか?

昔、あるGMにお聞きしたところ、意外な事実を教えてくれました。スカウトに来ている人たちは、選手個々人のいいところはすっかり頭に入っているそうです。その上で、その選手が弱点をどこまで克服しているのかを見ていると言います。

つまり選手は自分のいい部分を出そうと考えているのに対し、取るほうは悪い部分を見ようとしているのです。そこに気付くかどうかで、トライアウトの合格率は変わっていくかもしれません。

トライアウトに臨む選手の姿は胸を締め付けられるものですが、あまりの純粋さに神々しくもあります。どうかすべての選手に2月以降の契約がもたらされますように。(文=森雅史)

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