Jリーガーが陥ってしまう金銭感覚の麻痺とは?

画像: Jリーガーが陥ってしまう金銭感覚の麻痺とは?

Jリーガーは、同年代の一般的な会社員に比べると、遙かに多くの給料をもらうことができます。もちろん、選手寿命は短いので、稼げるうちにたくさん年俸をもらい、現役を終えた後に備えなければなりません。

若いうちに、しっかりもののお嫁さんをもらったJリーガーは幸せです。自分が管理しなくても奥さんがちゃんと家計を管理して、将来設計をはかることができます。

ですが、独身だったら、しかも貯金するのが趣味じゃない――だいたいはそうなのですが――Jリーガーだったら……。そこにはいろいろな落とし穴が待っています。

井手口純氏もその落とし穴を経験したと言います。何が落とし穴だったのでしょうか。

「本当はあまりお金を使うことはないんです。先輩と一緒にご飯に行くと、先輩が全部出してくれるし、練習があるとあまり遊びには行けないし。だいたいは車を買うぐらいしかお金を使うことがありません」

では、何が・・・。

「僕はオシャレが好きでした。それでプロになった最初にシーズン、先輩に連れられて服を買いに行ったとき、先輩のかっこよさにフラフラときてしまいましたね。僕もつられるようにコートを買ったのですが、それが10万円。今思えば、それが間違いでした」

井手口氏がプロになったのは1998年。W杯に初出場するなど盛り上がった一方で、横浜フリューゲルスが横浜マリノスに吸収合併されるなど、Jクラブの危機が一気に露呈した年でした。

Jリーグは高騰した選手の年俸を抑えるべく、契約条件に様々な制限をつけ、選手の人件費を抑えようとし始めます。それまでより、選手の年俸は下がる方向に推移しました。

「最初の年に10万円のコートを買ったのですが、翌年も買いたくなりました。だけど年俸は下がりつつあります。それでも、最初の年に身についた生活水準が忘れられない。だから今度は15万円のコートを買ってしまったんです。それだけでは収まらず、さらに翌年には20万円のコートも買って……」

井手口氏は「見栄もあった」と言います。ですが、それまでの華やかなJリーグの中で育ってきた先輩たちに囲まれると、本当はもっと節約しなければならないのではないかという気持ちが飛んでしまい、金銭感覚は麻痺してしまったようです。

「当時身につけた知識は今でも生きてますよ。それは役立っています」と井手口氏は笑います。でも「親からは『バカじゃないか』と言われました」とのこと。そして今は収入によっていろいろ調整しているということでした。

「ただ、最初に身についた金銭感覚はなかなか変えられないものですね……」。最後に井手口氏は呟くように話すと、フッとため息をつきました。(文=森雅史)

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