以前、NPO法人スポーツ業界おしごとラボ(以下「すごラボ」)が提供するサービス、「ライターゼミ」について紹介しましたが、今回は「スポーツ業界で働きたい人”と“スポーツ業界”をつなげる」ために、「すごラボ」では他にどんなことをやっているのか、何を目指して活動しているのかについて、小村大樹理事長にお話を伺ってみました。

一人ひとりとじっくり向き合って、一緒に方向性を見つけていきたい

──「すごラボ」は、“スポーツ業界で働きたい人”と“スポーツ業界”をつなげるための場所だと以前お伺いました。その2つがなかなかつながらない状況にあるから、トレーナーとして仲介役が必要だと。そもそもですが、どうしてこうした状況になっているのでしょうか?

小村:まず、スポーツを好きだという人は昔からたくさんいて、最近はそれを仕事にしたいと思う人が増えてきました。そんな世の中のニーズに応えるように、大学や専門学校に「スポーツマネジメント学部」のようなものがどんどん設立されてきたんですよ。でも、知識を学ぶことや、業界人の話を聞くこと、あるいはボランティアのようなことはできても、就職にはなかなか結び付いていないのが実情です。

──入口は広がってきているけれど、出口が少ないと。

小村:その通りです。スポーツ業界に就職したいという人の多くは、自分の好きなJリーグやプロ野球のチームで働くことが、夢であり憧れです。ですが、一般的に求人情報が出ることはほとんどありません。なぜならば、Jリーグやプロ野球のチームは一見華やかなように見えますが、実際のところはそのほとんどが中小企業だからです。

──Jリーグのクラブでも、社員は30人前後のところが多いと聞いたことがあります。10人以下のところもあるとか。

小村:当然そのような会社では、採用活動をする余裕もなければ、人を育てる余裕もない。でも常にリソースは不足しているから人は欲しい。それではどうやって人を探してくるのかというと、人の紹介に頼っているわけです。スポーツ業界は門戸が狭いといわれている理由は、この点にあります。

──なるほど。そこで、その橋渡し役が必要になってくるわけですね。

小村:はい。私は総合学園ヒューマンアカデミー(以下ヒューマン)の「スポーツマネジメント講座」を受け持つ中で、スポーツ業界の方々との人脈やネットワークを非常に数多く築いてきました。そうやって培ってきたものをフルに生かして、スポーツ業界で働きたい人をどんどんサポートしていきたい。そう考えて、2015年の4月にこの「すごラボ」を立ち上げました。

──ということは、就職先の候補を探してくれるような、大学の就職課やハローワークと似ているということですか? 

小村:それは違いますね。就職課やハローワークでは、その人の経歴や資格といった履歴書上の情報をもとにして、適合しそうな求人票をいくつかピックアップして、自分の希望に近いものを選ばせるというやり方です。それは、私の考える橋渡しと意味合いが異なりますね。

──具体的にはどういったところが異なるのでしょうか?

小村:橋渡しなので、人と企業が交流できる場を提供しているのですが、そこに対する責任をきちんと持ってやっています。というのも、そこで出会った人と企業がうまくマッチするのか、お互いに責任感のある人なのかを考えてやっています。そうでないと、人も企業もみんなが不幸になります。もちろん、就職課やハローワークでは数多くの人たちに求人を紹介することが求められているので、そうしたやり方が間違っているとは思っていません。ですが「すごラボ」では、一人ひとりとじっくり向き合い、それだけの責任と覚悟を持った人や企業が出会って欲しいと考えています。

──人も企業も、お互いにハッピーになれることを、一番大事にしているということですね。

小村:スポーツ業界で働きたいと思う人は、スポーツのファンでありスポーツが大好きなわけですよね。業界で働きながらスポーツの発展に貢献して、一人ひとりがハッピーになれる場所を一緒に探してあげたいのです。

例えば、ヒューマン時代の教え子に、某Jリーグクラブのファンがいたんです。クラブのやり方に対して疑問を持ち、自分がそのクラブに入って変えていきたいと考えて、ヒューマンに入ってきた。ところが講義で多くの知識を学んだり、クラブ関係者と会話して実情を知っていく中で、クラブで働いている人もファンと同じような疑問を持ちながらも、時間も人手も足りなくて、なかなか理想通りに物事を運ぶことができていないと知ったのです。私も一緒になって方向性を探していく中で、その教え子はそのクラブで働くことが自分にとっての正解ではないという結論にたどり着いたわけです。

──ちなみに、その方は今、何をされているんですか?

小村:スポーツ関連書籍の編集者の仕事をしていますよ。クラブを内側から変えるのが難しいなら、外側から変えることはできないかと考え方が変わっていったようです。メディアの力を使って、サッカーやスポーツの楽しさ、そこに関わることの楽しさを伝えながら、間接的にクラブの発展に貢献していきたいと考えているようです。彼の場合は、IT技術者からガラっと業種を変えて転職したので苦労も多いようですが、スポーツに携われている幸せを感じながら毎日楽しくやっているようです。

──そういう人たちをスポーツ業界へ輩出していくためには、小村さん自身が一人ひとりとしっかりと向き合う必要があるわけですね。

小村:その通りです。すごい資格や経歴を持っている人でも、私自身がよく知らない人を引き合せることなんてできません。その人も企業もハッピーになれる保証がないからです。逆に、たとえ資格や経歴がなくても、熱意を持って私と接してくる本気の人には、私も本気で応えます。ただし、さっきも話したように、スポーツ業界では基本的に即戦力が求められます。すでにビジネス経験のある社会人はともかく、特に学生は、熱意はあっても「何ができるか」をなかなかアピールできない。その部分はトレーナーとしてじっくりと育成していく必要があるので、「すごラボ」では「すごトーク」「すごゼミ」といった場を用意しているのです。

「すごトーク」では、本当の意味での“人脈”をつくれる

──「すごトーク」は、どのようなものでしょうか?

小村:「すごトーク」というのは、業界人を招いての座談会のことです。ここでは、業界人と気兼ねなく会話できる、誰でも参加可能な場にしています。これまでに、プロスポーツチームやリーグの職員、スポーツメーカー、ライター、テレビ局、広告代理店、オリンピック関連、アスリートマネジメント会社など、基本的にはスポーツ業界に従事している方々ですね。社長クラスの方もいれば、未経験から業界に入っていった私の教え子などもいます。スポーツ業界を目指している人にとっては、良いお手本になると思いますよ。

──それだけ業界の方がいらっしゃるなら、人脈も豊富につくれそうですね。

小村:その通り。「すごトーク」を本当の意味での人脈づくりに使ってほしいと思っています。一般的な交流会や、セミナーが終わった後に講師の方と名刺交換をするというのはよくあると思いますが、実際にそこから先につながることはめったにありません。当然ですよね、相手の素性も人柄も経歴も得意分野もよく分からずに、ほんの数分話しただけの関係なんですから。名刺コレクターになっていたり、Facebook上で友達になっているだけでは、本当の意味での“人脈”になっているとはいえません。

──確かにそうですね。ではなぜ「すごトーク」では本当の意味での人脈がつくれるのでしょうか?

小村:「すごトーク」は、一般的なセミナーのような一方通行の講座形式ではなく、座談会形式にしています。フラットな双方向のコミュニケーションが取れますし、少人数で実施しているので、業界の方に自分を覚えてもらうチャンスでもあります。広く学びを得ながら、積極的に自分を表現して、本当の意味での「人脈」をつくっていくことができるというわけです。

以前、バスケが好きでトレーナーの勉強をしている教え子がいたんですが、私が主催した座談会の場でバスケのプロリーグの方と知り合う機会があったんですね。そのリーグの方は彼女のことをずっと覚えてくれていて、ある時、トレーナーを探していたプロチームを紹介してくれたんですよ。彼女はトレーナーとしてチームに入り、紆余曲折を経て今はリーグで働いています。もし一方通行で話を聞くセミナーだったら、こうはならなかったと思います。彼女の素性も人柄も得意分野も熱意も知ってもらえたことが、こういう機会につながったのです。トレーナーとしての技術よりも、一度話したら忘れられないような、強烈な明るさを持ったキャラクターだったことが大きかったかもしれませんがね (笑)。

「すごゼミ」は、即戦力として活躍するためのトレーニングをする場

──それでは、「すごゼミ」ではどんなことをやるのでしょうか?

小村:「すごゼミ」は週に1回ゼミ形式で行う、メンバー限定のトレーニングカリキュラムになります。スポーツ業界に就職して、即戦力として活躍できることを目標に、本当に必要なことだけを提供していきます。

──具体的にはどういったことをやるんでしょうか?

小村:切り口としては、主に3つあります。1つ目は、“実務経験”。もちろん、より深い業界知識の勉強もしますが、大事なのは、得た知識を実践してみることです。実践することで、知識が本当の意味で自分のものになりますし、同時に実績にもなるわけです。前回お話しした「ライターゼミ」も、まさにその一つですね。もちろんライターだけでなく、さまざまな業界の方を講師としてお招きしていきますよ。

2つ目は、“進路相談”。一人ひとりと向き合って、何をしたいのか、どこを目指すのかといった方向性を一緒に見つけていきます。また、それぞれの個性や強み・弱みに合わせ、目指す方向性に向けて今何をするべきなのかも一緒に考えます。その際に適切なインターンやボランティアの紹介もしますし、週に1回、個別の相談タイムも設けますよ。また、自分の属性やスタンスを知るための心理テストなんかもやろうかと思っています。これは私がメンタルトレーナーをしていた時に、企業に対して提供していたものをベースにしていたもので、自分でも気付けない自分を知る機会になるかなと思います(笑)。

3つ目は、“マッチング”ですね。1つ目の“実務経験”や2つ目の“進路相談”を通じてトレーニングを積み重ね、適切なタイミングで適切な企業とマッチングを行います。人にとっても、企業にとっても、みんながハッピーになれるようなマッチングが私のモットーです。

「縁」こそすべて。会員は一生涯のパートナー

──スポーツ業界に就職するには、やはり学生など若い方が有利なのでしょうか?

小村:そんなことないですよ。社会人から転職して業界に入った人も学生と同じくらい多いですね。私の教え子の中には、コンサルティング業界で働いていた30代の社会人がフリーのライター・編集者になったケースもあれば、サッカー好きの社会人の女の子が飲食店からスポーツのウェブコンテンツをつくる会社に転職したケースもあります。もちろん学生から新卒で就職したケースだって数多くあります。学生がポテンシャルを買われて就職することが多い一方で、社会人は年齢が上がるほど、即戦力として「何ができる」のかを強く求められるようになるのは確かです。でも、現時点でそれを明確に示すことができなくても、トレーニングで伸ばしていきながら企業とマッチングさせていくのが私たちの役目だと思っています。経験や年齢は関係ありません。学生も社会人も、心配せずに私たちを信頼して、「すごラボ」の門をたたいてほしいなと思います。最後までしっかりと面倒を見ますよ。

──それは頼もしいですね!

小村:私の信念として、一度できた“縁”をずっと大事にしていきたいなと考えています。ヒューマン時代から数えれば何百人という教え子がいますが、幸いなことに今でもその多くとつながりがあります。実はこの「すごラボ」の立ち上げに際しても、本当に多くの教え子たちが協力してくれたんですよね。“縁”を大切にしてきた自分の信念は、やっぱり間違っていなかったなと感じました。これから「すごラボ」の会員となる方々とも当然、一生涯のパートナーでありたいと考えています。一度就職できればその時点で私の役目は終わりなのかと聞かれれば、そんなことは決してありません!

──就職してからも、ずっと面倒を見てくれるのですか?

小村:その通りです! 就職した後でも、その後のキャリアに悩むことがあれば当然相談に乗りますよ。

そういえばこの前、ある某Jクラブに就職した教え子が退職してしまったんですね。さまざまな事情が積み重なってのことだったようですが、マッチングした私にもその責任があったかなと……。それでも良い経験になったと言ってくれていますし、夢に向かってもう一度チャンスをうかがっているようです。今でも私のところへ来てくれることは、とてもうれしい限りですね。

──それが小村さんの言う“縁”を大事にするということなんですね。

小村:彼が夢を持っている限り、一生涯ずっとサポートしていきます。出会いというものは、本当に“縁”ですから、大事にしていきたいですね。

──最後に、スポーツ業界を目指す人へのメッセージをお願いできますか。

小村:「すごラボ」の理念は、『スポッピー』です。これは何を意味しているかというと、『「スポーツ」を通して誰もが「ハッピー」になれる社会を創る』ということです。そのためには、スポーツを支えたいという想いから生まれた“縁”を大切に磨きながら、もっと多くの人の“縁”とつないでいくことに、挑戦し続けていきたいと思います。一人ひとりが幸せになる道へと導くのが、私たち「すごラボ」の使命だと考えていますからね。

一緒に「スポーツ」で「ハッピー」になりませんか? 「すごラボ」でお待ちしています!

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