2016年1月24日に開催されたイベント【「もしイノ」「すごラボ」コラボ ~テーマはイノベーション~)in代官山】の第3回をお届けいたします。

この最終回は、岩崎夏海氏(「もしドラ」「もしイノ」著者)、秦英之氏(レピュコムジャパン社長)、上田顕氏(楽天野球団チーム戦略室長)、菊池教泰氏(認知科学に基づくコーチングをベースとしたこころの教育家)の4氏による座談会です。ナビゲーターは、NPO法人スポーツ業界おしごとラボの小村大樹さんです。

覚悟なき人材は非常に厳しくなる

小村:今日は学生さんも多くいらっしゃっているので、スポーツ業界で求められる人材像とイノベーションマインドの重要性というテーマで話していきたいと思います。まずは菊池さんから自己紹介と簡単なPRをお願いします。

菊池:皆さんこんにちは。ただいまご紹介に預かりました菊池教泰(きくち・のりやす)と申します。認知科学に基づいたコーチングをベースに教育事業を行なっています。認知科学とは何かというと、脳科学が「この部位がこういう働きをしてこういう機能を持っている」という分野であるのに対し、認知科学とは「自分がどのように認知していて、それが自分の人生にどのように影響してくるか」というもの。それをベースに講演や研修を通し、伝えていく仕事をしています。

クライアントとしては、企業、スポーツ選手・指導者、あるいは教育委員会からの依頼で学校の先生たちに講演や研修をしています。私自身は柔道経験者で、団体戦ではありますが学生時代に日本一になったことがあります。小・中学校時代、北海道出身なんですが当時は北海道一回戦負けの選手でした。長年スポーツをやっている方はなんとなく思うことかもしれませんが、「俺ってこんなもんだ」と、たとえば県大会ベスト8くらいが無意識の基準になったりします。そこを打ち破るには、今日テーマになっている「イノベーション」が必要です。

私は小中学校時代、高校時代、大学時代、すべての時代の柔道スタイルがそれぞれ別人でした。ゴール設定という話がありましたが、自分自身のゴールに応じて柔道スタイルを「無意識に開発していった」体感があります。人はどこまで変革し成長できるか、決めるのは自分自身しかいない。イノベーションと、私がやっている認知科学に基づいたコーチングは、実は非常に親和性が高いんです。そこをお話しできればと思います、よろしくお願いします。

小村:ありがとうございました。今回のテーマはスポーツ業界で求められる人材像とイノベーションマインドの重要性ということで、皆さんからご意見を頂きたいと思います。楽天の上田さん、2年前から新卒採用をされていますね? どういう方を採用しているとか、どういう人材を欲しているとかそこら辺いかがでしょう?

上田:われわれは楽天野球団で採用しておりまして、楽天本社の採用とは独立しております。球団として2年前から新卒採用をやっていて、今が二期目です。最初が3人、去年が6人で合計9人を採用しています。うち、実は女性が半分以上です。男性の方が少ないです。どんな人材かというと、今日の話にもつながっていますが、皆情熱を持ったメンバーが来てくれています。面接で「あなたは何をやりたいんですか?」と聞かれた時、何が伝わるかが重要です。「スポーツを勉強していました」というのはある程度あってもよいですが、あまり関係ないかなと。人にプレゼン出来るぐらいのこの業界で何かをやりたい、スポーツ界を変えたいという志を持っていることは非常に重要だと思います。

小村:とはいっても、その子の強みやレベルというのはありますよね?

上田:はい、もちろんあります。ウチの募集要項を見て頂くと楽天グループは英語化していることもありまして、英語についてある程度の能力を求めていたりはしますね。

小村:秦さんにも聞きたいのですが、レピュコムさんも外資系なので英語が必須かと思います。私も教え子が何人かお世話になっていますが、採用のポイントとかこういう人材がほしいというのはありますか?

秦:外資系ということもありますが、英語があると世界で起きていることに対し、自分から情報を取りにいけます。英語が無いとその時点で遮断してしまい、非常に狭い世界で情報が回るだけです。今英語ができなくても、できる前提の意気込みなり、今勉強していますという気持ちが必要です。あとは会社自体も少しずつ変化しているので、解析能力。イノベーションの時代、答えを作っていかないといけない時代だからこそ常に問題意識を持つ。「なんでこうなっているのか? これは正しいのか?」そういうものをちゃんと自分で解析する癖がないと、生きたデータになり得ません。

報告書だけ出して「はいどうぞ」というわけにはいかない。意味と意義の作り方、活用の仕方を自分の言葉で伝えられるかが、重要です。指示待ちや受身ではなく、自己主張型。それがすごく重要です。今からでもいいので、何のためにやっているのか、何をしていきたいのかを持っておかないと。これからは世界中の人材が日本に大量に来るので、覚悟してやっていかないと非常に厳しいです。

『ゴールが先、認識は後』

小村:岩崎先生もお二人の意見を聞いて、求められる人材像をお願いします。

岩崎:待ったなしの競争社会を感じます。ライバルの数が増えている。今、秦さんがおっしゃったように、日本だけの戦いではないんです。世界の人々が相手。英語はハッキリ言って、話せなくてもいいんです。世界の人に勝てれば。逆に言えば、「競争力が無い人は英語が話せても、意味がない」ということ。競争力というのが若い人にとって、ネックです。いろんな理由がありますが、日本社会は20年位前にゆとり教育を選択し、子どもを競わせなかった。ガツガツ競わせる、競争力を養わせる教育をしてこなかった。もう一つは秦さんがおっしゃった自己主張、自分で考えるということもあまりさせなかった。マークシート型の、与えられた問題に対して予め決まっている答えを記憶し、答える教育しかしていない。 

皆さんが認知しないといけないのは、自分たちは不利な状況にあるということです。自己分析として必要です。必要な教育を受けていなかった。だけど今からでも遅くないので、競争力とアピールする能力、答えのないところに答えを見出していく能力を養っていく必要がある。

小村:菊池さんからはいかがでしょう?

菊池:われわれは『コンサルティング』という言葉と、『イノベーション』という言葉は対局にあると思っています。コンサルティングというのは2つあって、1つが業務改善に見られる「現状の最適化」。たとえば今業務効率が悪くて、1時間掛かっていたものを10分にした。業務効率が上がったということなので、これはコンサルの分野。起こっている現状を最適化するのは重要なことです。ただ、これは2つめにあたりますが、「過去の成功例」から逃れられないです。「過去に成功したものを当てはめている」わけですね。

私もコーチングでどういう人間を育てていくかというと、イノベーションを起こせる人間です。前例がないものを作り出せる人間。コンサルティングでは、現状の最適化だったり過去の成功例を持ってくるだけで、Googleみたいな企業は生まれません。イノベーションを起こせる人間を育てるために、何ができるか。私の場合はコーチという立場で、マインドの使い方を教えています。マインドとは脳と心を指します。これの使い方を教え、イノベーションを起こす人間を育てるのがゴールです。

秦:菊池さんに一つ質問なんですが、北海道で1回戦負けだった状態から、どうやって日本一になったんですか?

菊池:高校時代は、北海道で一番を目指す高校に入りました。ゴール設定が北海道で一番だったんですね。そこで、「自分なりの方法」を開発しました。『インベント・オン・ザ・ウェイ』と呼んでいるんですが、ゴールに向かう途中で手段や方法を無意識に開発していく。だからこそ積み上げ式のゴールでなくてもいいんです。日本だと会社の経営でも今できることをプラス10%とか20%とか積み上げ式のゴール設定をするわけです。でも、われわれは『ゴールが先、認識が後』という言葉がありまして、達成方法はわからないけどゴールを先に設定し、手段や方法を後から見つけ出していく。

私は中学3年の時に一番体重が重くて、133キロありました。後に日本一、インターハイチャンピオンの先輩が2人いて、監督の息子さんだったんですが、その先輩たちにとても厳しい稽古をつけて頂き、体重が99キロまで落ちました。でも、全然強くならなくて。このまま成績が残せないのは、親元を離してもらっておきながら親に申し訳ないし、情けないし、嫌だということで、「全国大会に行く選手になる」という目標ができました。これは「情熱、情動を伴った行動、ゴール設定ができた」ということです。ゴール設定はなぜ重要かというと、今まで見えていたけど、目に入らなかったことが入るようになるのです。

たとえばCMを見て「洗濯機が欲しい」と思ったとします。そうすると洗濯機に関する情報が急に目の前に飛び込んでくる。インターネットで検索しようと思ったり、違うCMを見たり、電化製品のコーナーに行ったり。自分がゴール設定をしたから、情報が来るようになったと。なおかつ、情動と情熱を伴ったゴールが必要です。内側からの動機付けがされ、「なぜそれをやりたいのか」というゴールが設定されることで、達成方法を無意識に探し始める。それを私は高校と大学で二回経験しています。

私なりの方法で団体日本一までいきました。オリンピックを目指す実業団まで行ったんです。ただその後、私はゴール設定をしなかったんですね。満足しちゃった。それで実業団ではまったく結果を残せませんでした。例えば「お金持ちになりたい」というゴール設定をするとします。ただ、これだけではダメ。情熱が重要です。「親を楽にさせる」とか「家族を幸せにする」とか、内側の動機付けも非常に重要だと思っています。

秦:個人戦だったらまだわかるんですが、あえて団体戦でなった理由は何ですか?

菊池:実は、「個人で日本一になる」というゴールを持っていなかったんです。大学時代には2つのゴールがありました。1つは、日本武道館というヒノキ舞台でヒーローになりたい。もう1つが、日の丸をつけた柔道着で、国際大会のチャンピオンになって一番高い表彰台で君が代を聞きたい。この2つをゴールとして設定し、そして達成できたんです。ただ、個人戦はゴールとして設定していなかったんですね。大学の団体戦は7人の試合で、どんなに強い選手がいても1ポイントにしかなりません。例えば「この選手はナントカ大会で優勝しているけど、こういうタイプには弱い」とか、そういう傾向があります。うまくオーダーを調整して、強い選手を先鋒に持ってきたりして、流れを作るのも戦術だったりします。

その中ですごい偶然というか、私の無意識が引き寄せたと今でも断言できるんですが、決勝戦で私が勝てば日本一になるという場面が回ってきたんです。実際にそれで勝って優勝して、観客の声援に応えた体験があります。やはりこれは、自分の情動を伴ったゴール設定が、引き寄せたものだと思います。

ほとんどの人は、自分に騙されている

岩崎:そうですね、今の話を聞いて思ったのは、イノベーションというのは難しいところがあるんですよね。より根が深いところにいくと、自分の意識との戦いなんですよね。精神性との戦いというか、人格が求められるというか、人間としての修行が必要になる。こんなことは小学校でもお父さんお母さんから言われていると思いますが、イノベーションを起こすとなると、新しいことをやるとなると、そういうのが必要になる。自分の意識や無意識という領域に入っていかないといけない。

ほとんどの人は、自分自身に騙されているところがあると思います。自分の「本当の気持ち」というのは、ほとんどの人が知らない。謙虚さとか素直さとか、そういうものはなかなか持てないんですよね。人は「成長したい」とか「もっと裕福になりたい」という気持ちのがある。実はそれを邪魔するのは自分自身なんです。裕福になりたい、成長したいと思った時に「失敗したら嫌だ」という気持ちから勉強しなくなる。

たとえば変な話ですが、原発があります。原発は、反対する人がいます。原発の危険性を訴えてデモをします。原発を反対する人が最終的に何を望むかというと、原発が爆発することを望むようになります。爆発すると、訴えている危険が現実のものとなる。「それ見たことか」という自分たちの目標が達成される。地球を安全にしようと思って原発に反対していたのに、やがては目的が裏返って、爆発することを望む。人間の心って弱い部分があるんです。「簡単な方法がある」と思うとうまくいかないんです。

先の道程や状況を知ることで、簡単に行くと思ってやると挫折し、それ以上のチカラが無くなる。困難な道程を歩いていく、そういう認識を持っていた方がいいと思います。「前途洋々な若者に、希望をくじくような現実を言うのはよくない」と言う方もたくさんいますが、希望を持っていたばっかりに現実に打ち砕かれて心が病んだりする人をたくさん見てきました。なるべく、道に入る前に厳しさを知っておいた方が良いと思います。

小村:ありがとうございます。今日は学生さんも多いので、スポーツ業界を目指すとか今の段階で何を考えどんな行動や経験をしたらよいのかを、上田さんからお願いします。

上田:例えばスポーツ業界に行きたいと思っているなら、業界をちゃんと調べた方が良いと思います。業界研究というのは就活時に学生の皆さんはよくやられていると思いますが、ビジネスの世界では学生の時とは比較にならないくらい徹底的に業界研究を行います。

私もこれまで色々と行ってきましたが、例えばお客さまである企業に対して金融の話をしたりコンサルティングの話をするために、業界研究というのは良く行うものです。学生の皆さんも同じで、例えば野球界に行きたいのであれば、その業界を徹底的に調べる。それは絶対した方がいい。入った後のことが非常に重要になると思います。どんな人が働いていてどういう業界で、今後どうなっていくだろうということまで考えていくと面接でも自分の心からの言葉が出ると思います。もし就職活動時にゴールを見つけることが出来たら、それについて徹底的に調べるという経験をするのもいいと思います。

岩崎:僕は、競争優位性を持った方がいいと思います。得意なものですね。得意と言っても生半可ではなく、「この分野だったら世界一になれる」というポイントを見つけて作ることが大事かと。これからはそういう能力がないと競争に勝てない。これからの社会で勝つには、本当の実力を身につけるか、ブランディングでガチガチに固めるか、この2つくらいしかないと思います。企業も同じです。

ただ、個人の場合で言えば、ブランディングというのは若い子には難しいので、競争優位性を身に付けることですね。「これだったらこいつに聞けばわかる」「誰にも負けない」という分野。世界一はなかなか大変ですが、人がやっていない分野、小さな分野で構わないので、それを見つけること。世界一とまではいかなくても日本一くらいまで、身に付けるのが良いんじゃないかな。僕だと高校野球のドラマチックさや素晴らしさを語る人は他になかなかいないというところで、やっています。そういう得意技を見つけるのが大事だと思います。

画像: ほとんどの人は、自分に騙されている

自己評価が高い≠図に乗る

秦:得意分野の話が出ましたが、経験上きっかけを作るにあたって、好きな分野を見つけて代理人になるべきか、マネジメントって何かを調べていく。どんどん調べてきっかけを作っていく中で、段階を踏んで連動していく中で、一つアドバイスがあります。それは第三の自分、第三の意見を持つ余裕ですね。個人的な意見と、専門的な意見があります。たくさんある中の1人としての意見と、業界の全体を考えた上での意見。客観的に物事を見極めるのが重要になるので、お金を頂くプロという立場である以上、情が入ると弱点になります。

自分の将来も含めて、情ばかりだと客観的に見られなくなります。第三の視点、頭の中でもいいんですが、いつもその人に語りかける癖ですね。「どう思う?」って聞いた時に、ダメだと言ってくれる、これが足りない、これでいいよと言ってくれる、もう一人の自分。客観的視点というのは今後必ず求められるので、そこは重要なポイントです。

菊池:視点の高さのことを『抽象度』といいます。認知学において、抽象度の高い思考をすることを気をつけています。たとえば渋谷のスクランブル交差点で歩いている人がいる。同じところで歩いていると人とぶつかりそうだなと思いますが、建物の2階からスクランブル交差点を見ていると「ああ、こういうふうになっているな」とわかる。これは、視点の高さです。視点が高いほど、見えるものが広くなってきて、関わる人がより増えていく。都民のことだけを考えている人と、日本全体を考えている人と、視点の高さのことを『抽象度』とわれわれは呼んでいます。

認知科学において、「抽象度の高い思考」をすることは重要です。たとえば渋谷のスクランブル交差点で歩いている人がいる。同じところで歩いていると人とぶつかりそうだなと思いますが、建物の2階からスクランブル交差点を見ていると「ああ、こういうふうになっているな」とわかる。これは、「視点の高さ」です。視点が高いほど、見えるものが広くなってきて、関わる人がより増えていく。都民のことだけを考えている人と、日本全体を考えている人と、世界全体の視点で考えている人、同じものを見ても見え方が違います。

イノベーションを起こしていく観点からすると、「抽象度、視点の高さを高く持つ」ということです。高いものを見るだけじゃなくて低いものも見る。木を見て森を見ずとはよく言いますが、両方見る必要性があります。世界全体の視点で考えている人、同じものを見ても見え方が違います。イノベーションを起こしていく観点からすると、抽象度、視点の高さを高く持つということです。高いものを見るだけじゃなくて低いものも見る。木を見て森を見ずとはよく言いますが、両方見る必要性があります。

もう一点、プロのコーチングの立場から言うと、皆さんは「自分自身が最高だ」と言えますか? 日本人は自己評価がすごく低いと言われています。日本人で10カ国語を話せて、カナダの大学で言語学の博士として教鞭をとっている先生とこのあいだ対談したのですが、こういう話がでました。

「菊池さん、自己評価が日本人はとても低いですね。カナダの大学では、外国人は自分より点数が上の人間がいると悔しがる。なぜなら『自分はそこまでいけたはず』と思うから。でも、日本人は自分より下がいると喜ぶんです」

文化的背景として、卑下と謙虚とをごっちゃにしている背景がある。でも「自己評価が高い=図に乗っている」わけではない。自己評価が高いからこそ、人に優しくできる。「私もすごいし、君もすごい」と言える。ここを履き違えているのかなと思います。自分を最高だと常に言えることで、新しいことにチャレンジする気持ちも生まれてきます。自己評価の大切さをわかってほしいと思います。

歴史を学べば能力は2倍、3倍に

小村:楽天さんでは社員の自己評価について、何かありますか?

上田:全社員が半期に一回、自己評価を出します。「私はこういう仕事をしました、これだけ頑張りました、だからこういう評価をしてください」と。ウチに限らず、恐らく秦さんの会社でもどこでもしていると思います。菊池さんがおっしゃったように、人によっては謙虚に来る人もいるし、かなり高めに来る人もいます。どちらが良いかというより、しっかりと自己評価をすることが大切だと思います。

自己分析をする上で何と比較して分析しているのか、これを考えることが重要だと思います。戦う相手、比較する相手が曖昧だと適正な自己評価は出来ないと思います。自分の周りにどういうライバルがいるか。例えばスポーツ界に入った後、皆さんのライバルは横に座っている人なのか?12球団で戦っているので、ソフトバンクの職員がライバルかもしれないし、メジャーリーグのスタッフかもしれない。自分のことを見るという行為はなかなか難しいと思います。私もまだ全然できていないと思います。

さっき秦さんもおっしゃっていましたが、第三者から言われる環境をどれだけ持っているか。皆さんは周りから言われると「うるせえなこいつ」って思うかもしれませんが、一人でも多く自分に意見を言ってくれる上司や同僚、友人を持っているということが、自己分析の上ですごく重要と思っています。

岩崎:僕は「自己評価が高い」と言われています。周りからどう思われようと、自己評価が高かったからこそ自分をモチベートでき、努力してきた。僕は、努力だけは誰にも負けません。自己評価がそもそも高かったので、努力することもできたんです。

「自己評価が高いと、努力しなくなる」とみんな思いがちです。まったく逆です。自己評価が高いからこそ、努力できる。なぜ私は自己評価が高いのかはわからないんですが、生まれつき、物心ついてから高かったんですね。もう一つ、菊池さんがおっしゃった抽象度の高い思考ですね。さっき「日本から見るか世界から見るかで違う」という話がありました。それに加えて、みんな短期的な時間軸でしか見ていないということを申し上げたいですね。

皆さん、目の前の問題しか考えていない。あるいはスポーツ界にしても今のスポーツ界しか見ていない。さっきから何度か申し上げましたが、スポーツ界が今あるのは過去があったからです。過去100年くらい、もっと言えばスポーツ自体はもっと前からあって、イギリスで生まれたとか言われています。それを知っているのと知っていないので、あらゆることが違ってきます。

アウトプットも、考え方も違ってくる。できる仕事の能力もまったく変わってくる。歴史を学べば能力は簡単に2倍、3倍と上がっていくんです。皆さんは、あまりにも歴史を学ばなさすぎる。スポーツの歴史を知らない方がほとんどじゃないでしょうか。歴史を学ぶのが一つのアドバイスです。

秦:歴史から学んで、未来を作る。歴史から学ぶというのは、身内でも過去の書物でも先輩からでもいいですが、歴史からヒントを得るのは間違いありません。一方で、これから先の未来に向けては、誰でも何でも作れます。もう一つは、進化ですね。目標設定に対して、常に進化し続けること。失敗することも多いと思います。私も腐るほど失敗してきました。それをどうエネルギーに変えていくか。みんながみんなうまくいくわけではない。失敗した時こそ、お互い支え合って、学んで、次の布石を打つ。

挑戦し続け、失敗する勇気を持ちながら突き進むことで、得られるものは何倍にもなって返ってきます。それが自ずと財産になる。もちろん成功も財産ですが、失敗も成功に大きく寄与します。「今より明日」ということを忘れずにやるのが大事だと思います。

勉強し続けないと、仕事が無くなる

菊池:岩崎先生がおっしゃった「自己評価が高い人間だからこそ、努力できる」というのは、まさにその通りです。自分自身に持つ無意識のイメージを『セルフイメージ』と言っています。スポーツ選手でも「自分は一流だ」だと思っている人間は、試合で苦しい場面にあってもセルフイメージに支えられて頑張ることができる。でも自分が二流だと思っていると、練習で強くても本番に弱いということが起こる。自己評価がどこにあるかによって、パフォーマンスが変わってきます。

逆に自分の基準が高いと、他の人から「すごく努力しているね」と言われますが、本人の中でそれは当たり前でしかない。JISS(国立スポーツ科学センター)が赤羽にあるんですが、そこでリハビリしていたことがありました。シンクロナイズドスイミングで銀メダルを取った女性に言われたのは、「努力していると思っているうちは、一流じゃない」と。なぜかというと、「みんなから見ると努力しているように思えるかもしれないけど、私にとっては歯を磨くのと同じだ」と。こういう無意識の基準は非常に重要だなと思います。

小村:最後にスポーツ業界を目指す人に、アドバイスやメッセージをお願いします。

上田:私はスポーツ業界を志望し、今の仕事をしています。学生の頃くらいに、考えたことでもあります。今思っていることはスポーツ業界のパイを広げないと皆さんが入ってくる場所がない、この業界の人間として責任を感じています。皆さんは恐らくスポーツ好きだと思いますが、それを仕事にするというのはあまりまだ馴染みがないかもしれません。私はあと5年10年したら「大手の会社じゃなくてプロ野球チームやJリーグに行きたい」とか、「金融、商社やコンサルとかじゃなくて、スポーツの方がかっこいいでしょ」とか、そういう風に言われるくらいのブランドある業界にしたいと思っています。

皆さんが今気持ちを持っているなら、持ち続けてほしい。今日いろんな話がありましたが、しっかり頭を使って分析するとか、例えば英語を勉強するとか、こういう地道な努力も大事だと思います。これからの時代は本当に厳しいので、この辺のベースはしっかり備えた上で、情熱を持ってやってほしいと思います。

岩崎:学生の方は「勉強は学生時代にするものだ」とお考えかと思います。今の時代は、そんなことはありません。僕も日々勉強なんです。登壇されている皆さんもそうですが、勉強し続けないと生きていけない、仕事が無くなるという切実な状況です。学生時代に勉強することも大切ですが、もっと大切なことは「勉強し続けられる身体を作る」ということです。あるいは生活スタイルの仕組み化。勉強し続けられる体制をしっかり作って、社会に出たらその能力を活かして勉強し続ける。今は「どうやって勉強したらよいのか」という勉強の方法を、まずは学ぶというかしっかり自分の中で作るのが大事だと思います。

秦:なんども繰り返しになりますが、答えの無い時代だからこそ答えを作るということに関する行動や姿勢がすごく大事です。そういった思いを忘れずに、飛び込んでいく。答えが無い時に答えを出す行為に挑戦していく。第三者に「それは難しい」と否定された時点で、2つのことを考えた方がいいです。自分が間違っていると思うか、逆にチャンスだと考えるか。答えが無い時代だからこそ、後者の可能性は無限にあります。

周りにいる方の声があるなら、先輩方家族の方々、きっかけを得られる周りの方々に、対して聞くということがヒントになる。気づきを得てエネルギーに変えて、一歩を踏み出す勇気につなげてほしいと思います。機会を増やすのは今(スポーツ業界に)入っているわれわれの使命ですが、もっと大きくしていくのは同じ志を持った方々なので。無限大に可能性があるので、これからもよろしくお願いします。

菊池:人間は知識がないと認識できません。たとえばこのマイクも、原始人に渡したら何をするものかわからない。知識がないと、ものを認識することができません。様々な分野の知識、岩崎先生がおっしゃったように社会人になっても学び続けること。それによってものを認識できるようになる。業界を知らないのであれば、調べることによって新しいアイデアが浮かんでくる。そういった知識を取りに行く力は、ずっと求められます。それによって、「自分はイノベーションを起こす人間だ!」と自己評価を高く持ってもらいたいと思います。

小村:まだまだお話を聞きたいのですが、時間になりましたのでここで終了したいと思います。スポーツ業界を目指す人だけではなく、何か自分自身の大きな目標に挑もうとしている方々に多くのヒントがあったと思います。岩崎さん、秦さん、上田さん、菊池さん、ありがとうございました!

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