国府高校サッカー部。わずか1カ月の準備期間で…

わずか1カ月の準備期間で、高校総体・熊本県予選で見事優勝を勝ち取った国府高校サッカー部。彼らのその強さの秘密は、どこにあるのでしょうか。

練習グラウンドで佐藤光治監督にお話を伺いながら、私はずっと気になっていることがありました。グラウンドの3分の1ぐらいのスペースを使って、サッカー部の部員さんたちと子どもたちが一緒にサッカーをしているのです。

画像1: 国府高校サッカー部。わずか1カ月の準備期間で…

「『アッズリーノ熊本』という、幼稚園の年中さんから小学6年生までいるサッカースクールの子どもたちに、サッカーを教えています。この取り組みを始めて、もう5年目ぐらいかな。最初は、自分たちでメニューを考えさせて、今日はこういうトレーニングをしたいというのを全部ノートに書かせて、それをやらせるっていうところから始まりました。生徒たちはいつもは教わる立場にいるけど、今度は教える立場になるわけです。子どもたちは、声をかけないと動かない。部員たちが社会に出たときに、黙っているんじゃなくて、自分の思いを伝えるとか指示を出すとか、社交性という面でかなりプラスになるんじゃないかなと思って取り組みを続けています」(佐藤監督)

子どもたちとの楽しい光景の中に、部員さんたちの“声”が聞こえ、真剣な表情も垣間見ることができました。

画像2: 国府高校サッカー部。わずか1カ月の準備期間で…

「最近では、部員同士で“教え方こうしない?”みたいな話し合いをしている姿も見られます。今はやらされるっていう時代ではない。尻を叩かれないと一生懸命やらないんじゃなくて、部員たちはやっぱりサッカーが好きで集まっているから、壁にぶつかったときに、自分たちで解決しようとするんです。僕ら大人たちがやることは、いかに横からしっかりサポートできるかどうか。主導権を部員たちに持たせるということが、今の状況では大事かな、と感じています」

子どもたちにサッカーを教えるということを通じて、部員さんたちは日々自らたくさんのことを学んでいるのでしょう。

そういえば、国府高校には先生や指導者を目指す生徒さんもいれば、マーケティングコース、ファイナンシャルコース、コンピュータサイエンスコースからそれぞれの専門職を目指す生徒さんたちもいるそうです。サッカー部にも、プロを目指す人、指導者を目指す人だけではなく、いろんな人がいるはず。それでもサッカー部として強く、同時に人としても日々ここで成長していく部員さんたち。

「ここで通用する人間は、社会に出ても基本的に通用すると思うんです。時間をきっちり守れるとか、約束を守れるとか、人の話をしっかり聞けるとか、素直さがあるとか、そういったところでこのサッカー部で評価されている人間は、社会人としてどこに行っても重宝されると思うんです。サラリーマンになろうが公務員になろうが、どんな職業に就こうが、そこで人のために自分の能力を発揮して、お金を稼ぐ。そういったことを、サッカーを通じて教えています」

画像3: 国府高校サッカー部。わずか1カ月の準備期間で…

国府高校を県予選優勝まで導いた佐藤監督の指導理念は、単に技術を教えるだけのものではありません。なぜこのような考えに至ったのでしょうか。佐藤監督は、実は元Jリーガー。そのときの経験が関係していたのです。

「結局僕も、挫折してるんです。Jリーガーになりたいという夢はかなえたけど、そこで活躍できずに、戦力外通告というものを味わいました。サッカーでずっとお金を稼げるかといったら、僕が『以前Jリーガーでした』と言ったとして給料が上がるわけじゃないし、そういう話をしたところで『だからどうしたの?』って言われるだけなので」

でも、佐藤監督はそれを「挫折」とは言っても、「失敗」とは言わなかった。

まさに佐藤監督自身が、その経験を人としての成長の場と捉え、今につなげている姿を見せているからこそ、言葉にしなくても生徒さんたちはそれを感じ取っているんじゃないかな、と思いました。

<続く>

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