視覚障がい者と健常者が力を合わせてプレーする注目のスポーツ、ブラインドサッカー! 今回は、Jリーグの浦和レッズが開催したブラインドサッカー体験会についてお届けしてきました。

ブラインドサッカー日本代表の加藤健人選手が所属する「埼玉T.Wings」の協力の下、ファン・サポーター50人、レッズ6選手が参加した体験会もついに終わり、平川忠亮選手、加藤選手が胸に秘める想いを伺いたいと思います。

まずは、今回のブラインドサッカー体験会を企画した平川選手のお話です。

トレーニング中にボールが自身の目に直撃して、一時的に視力を失うという経験をした平川選手。それをきっかけに、ブラインドサッカーを実際に体験したり、埼玉T.Wingsの支援を行っています。本日の体験会を終えて、どのようなお気持ちでしょうか?

「思っていた以上に、皆さんも楽しんでもらえたようなのでよかったです。非常に多くの方に参加していただいて、少しずつではありますが、つながりの輪が広がっていっているなと実感しています。

今回はレッズを応援してくださっている方々に参加していただきましたが、選手がすぐ近くにいることも忘れて、ブラインドサッカーに夢中になってくださっていたことはとても嬉しい限りでしたし、参加してくださった皆さんがこの輪を広げていってくれることを期待しています」

この日は平川選手だけでなく、キャプテンの阿部勇樹選手をはじめ、6選手がファン・サポーターの皆さんと一緒になって汗を流していました。

「どれくらいの選手が参加してくれるんだろうと少し不安だったんですが、みんな快く参加したいと言ってくれました。選手の間でも広がりができたのは嬉しかったです。

ブラインドサッカーでの経験やプレーが自分のサッカーにも生きると思っているので、僕自身もっと積極的に関わっていけたらと思います」

最後に、ファンの方へ一言をお願いします。

「今はまだブラインドサッカーが皆さんの身近にはないかもしれませんが、2020年東京パラリンピックの正式種目でもありますし、この4年でもっともっと広がり、盛り上がっていくと思いますので、皆さんもチャンスがあればぜひ積極的に参加してみてください」


次に、体験会を行った埼玉T.Wingsのメンバーであり、ブラインドサッカー日本代表での加藤健人選手のお話です。

本日の体験会の感想はいかがでしょうか?

「今までにもブラインドサッカーの体験会を開催してきましたが、今回みたいにJリーグの選手、ファン・サポーターの方と一緒になって体験するというのは、多分初めてだったのではないでしょうか。ブラインドサッカーも同じサッカーとして知ってもらいたいという想いもありますし、同時にコミュニケーションの大切さを感じてもらえるいい機会になったなら嬉しく思っています。

埼玉T.Wingsは主に埼玉県さいたま市で活動していて、埼玉県で唯一のチームです。さいたまといえばサッカーの街で、ノーマライゼーションズ条例(※)が施行されていて、ブラインドサッカーと深く関わっている街なので、そういう意味でもブラインドサッカーを知ってもらうだけでなく、新しい気付きであったり、コミュニケーションの重要性などを知ってもらえるきっかけになったらと思っています」

※ノーマライゼーション条例:2011年に政令指定都市で初めて、さいたま市で制定された条例。障がいのある人たちの住むところや働くところなどの生活の条件を可能な限り、障がいのない人と同じようにするという考えの下、「誰もが共に暮らすための障がい者の権利の擁護等に関する条例(ノーマライゼーション条例)」を施行し、障害の有無に関係なく、安心して生活を送ることのできる地域社会をつくることを目指している。

加藤選手はよく、「始めなければ始まらない」とよくおっしゃっていますね。

「僕自身、高校3年生で視覚に障がいを持った時、やっぱり絶望感といいますか、『この先、何もできないな』と思って、家に引きこもる時期があったんですね。

でもブラインドサッカーと出会ったことで、外に出るようになったり、仲間と一緒になってプレーするようになりました。普段の生活や仕事でも、意外とやればできることが多いんだなと感じてきました。夢も、目標も、やれば少しずつかなっていく。

そういうことを経験していく中で、『始めなければ始まらない』なと。やる前にできるかできないかを考えて、『できないからやめよう』と思ってしまうこともあると思います。でも、そうではなくて、やってみると意外にできることが広がり、増えていくのではないかという想いを込めて、『始めなければ始まらない』という言葉を、自分の中で大切にしていますね。

ブラインドサッカーも、『アイマスクなんてして本当にサッカーなんてできるのかよ』と思う方もたくさんいらっしゃると思うんですよね。でも、やってみれば意外にできますし、僕たちのプレーを見て、そういったことに気付いてもらえたらと思っています」

加藤選手は、初めの一歩を踏み出したからこそ、今があるんですね。

「僕はたまたま障がいがありましたけど、障がいの有無に関係なく、どんな方でも“壁”にぶつかることがあると思うんですね。そういう時に、どう一歩を踏み出すか、どう挑戦するかによって、これから先の人生が変わっていくと思います。

僕もあの時、一歩を踏み出していなかった、今こうして皆さんとお話することもなかったでしょうし。もともと小学生の時にサッカー選手になりたいという憧れを持っていて、Jリーグの試合もよく見に行っていたんですが、まさかそれで自分がJリーグの選手と一緒にこうしたイベントを開催できるとは思っていませんでしたし。広がりってすごく大きいんですよね。人と人とのつながりであったり、これまでに経験してきたことは大切にしていきたいと思っています」

最後に、これからの目標を教えていただけますか?

「昨年から新しい監督の下で、新しいサッカーに挑戦しています。しっかりとパスをつないでゴールを目指していく攻撃的なサッカーを目指していて、これまでブラインドサッカーではできないんじゃないかと思われていたことを、僕たちが見せていければと思っています。

これまで日本代表はパラリンピックに出場したことがないので、出場できればそれでいいとは思っていません。2020年の東京でやる意味というのは、そこでしっかりと結果を出すことだと思っています。今みんなが同じベクトルを向いてやれているので、メダルを取るということを目指して頑張っていきたいと思います」

ありがとうございました!

4年後の2020年東京パラリンピック、そこでメダルという結果を出すために、今選手たちは一生懸命に努力しています。またそうした競技面だけではなく、コミュニケーションの重要性であったり、「始めること」の大切さを伝えていくことであったり、今自分のできることに積極的にチャレンジされています。

ブラインドサッカー日本代表がメダルを取る――。

そのためには、選手たちだけではなく、私たちにもできることがあるように感じます。体験する、人に話す、誘う、輪を広げる。ほんの小さな一歩が、間違いなく彼らの力になっていきます。

ブラインドサッカー日本代表の、そして彼らを支える私たちの、メダルへの挑戦は、今まだ始まったばかりです。

<文・野口 学(text by Manabu Noguchi)>

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